KGIとKPIの違いや関係について解説します。効果的な指標設定と目標達成のためのポイントをわかりやすく説明し、KGIとKPIを活用して成果を上げる方法を紹介します。
現代のビジネスにおいて、目標設定とその達成に向けたプロセスは、企業の成功や成長において非常に重要な役割を果たします。特に、KGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)は、企業やプロジェクトが目指すべき最終的なゴールを明確にし、それに向かって全員が一丸となって取り組むための基本的な指標です。しかし、KGIは単なる数値目標ではなく、組織全体の方向性を指し示す羅針盤のような役割を果たします。
このコラムでは、KGIとは何かを定義し、KPI、OKR、KSFなどの他の指標との違いを整理していきます。また、KGIを設定する際によく見られる失敗要因や、確実に達成できる目標を設定することの是非についても触れていきます。そして最後に、KGI設定を成功させるための具体的なポイントを解説し、組織が最終的な目標に向かって効率的に進むための方法を探っていきます。
Contents
KGI(重要目標達成指標)とは

企業の「最終ゴール」を見える化する羅針盤
経営において「会社をどこへ導くのか」を明確にしなければ、戦略も人事もブレてしまいます。そんなときに必要になるのがKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)です。KGIは、企業が中長期的に“必ず達成すべきゴール”を数値で明文化する指標であり、いわば経営戦略の最終目的地を示す羅針盤のような存在です。
たとえば、
- 「年商10億円を突破する」
- 「国内市場シェア20%を獲得する」
- 「新規顧客1,000社を獲得する」
といった、売上・利益・シェア・顧客数などの最終的な成功指標がKGIに該当します。
これにより、社内のあらゆるリソース(人材・時間・予算などの経営資源)が「何のために動くのか」が明確になり、組織全体が同じ方向に向かって進む力を生み出します。
なぜKGIが必要なのか?経営の“ブレ”を防ぐ戦略軸
KGIの価値は、単なる“目標”にとどまりません。むしろ、企業が「何を成功と定義するか」を全社に示す指針です。
たとえば、
- 新サービスを立ち上げるプロジェクトで、KGIが「3か月後に100件の契約獲得」であれば、
- マーケティング部門は「どの施策でリード(見込み顧客)を創出するか」
- 営業部門は「何件の商談をいつまでに成立させるか」
など、部門横断で具体的な動きが生まれます。
こうした“経営戦略と日々の行動をつなぐ橋渡し”こそが、KGIの持つ最大の力です。
KGIは“挑戦的で現実的”な設定が鍵
KGI設定でありがちな失敗の1つが、「根拠のない目標」や「高すぎる理想」です。たとえば、過去3年間の売上がずっと横ばいなのに「来期で売上を2倍にする」というKGIを掲げたとすれば、社員は「本気で言ってるのか?」と冷めてしまうでしょう。
逆に、あまりに小さすぎる目標だと、挑戦意欲が湧きません。
だからこそKGIは、
- データや市場動向を踏まえて現実的であること
- 社員のやる気を引き出す挑戦的な水準であること
このバランスが重要です。
さらに、「数値で測定できる」こと、「期限が明確である」ことも必須条件です。KGIがあいまいだと、組織全体の足並みが揃わず、戦略は形骸化します。
KGIは「ビジョン実現の入口」である
KGIは、企業の長期的ビジョン――すなわち中長期で目指す方向性や理想像――を、実現可能な成果目標に置き換えたものです。
たとえば、経営理念で「業界に革新を起こす」と掲げている企業が、KGIを「顧客数の増加」のみに置いていたとしたら、現場は“量”にしか目が向かず、“質”や“革新”という価値観が失われていきます。
つまり、KGIは企業の“魂”を数字にする作業でもあるのです。
人事担当者にとってのKGIの意義
特に人事担当者にとってKGIは、「人材戦略の方向性」を決める基盤です。
- KGIが“海外進出”であれば → 語学研修やグローバル人材の採用が必要
- KGIが“営業利益率の向上”であれば → 業務効率化や成果型評価制度の導入が求められる
このように、経営戦略と人事施策をつなぐ“翻訳ツール”としてKGIを活用することで、人事部門の役割は単なる“バックオフィス”から“戦略人事”へと進化します。
KGIは、企業が何を最終成果とするのかを明確にする「北極星」のような存在です。社内のすべての活動がKGIと結びついていれば、組織の迷いは減り、意思決定は早まり、業績や成果も向上します。
「自社のKGIは何か?」「現場と結びついているか?」を再確認することは、経営の精度を高める第一歩となるでしょう。
KPI、OKR、KSFとの違い

――それぞれの「指標」を正しく使い分けられていますか?
企業が目指すゴールであるKGI(重要目標達成指標)を達成するためには、日々の行動や戦略を「見える化」し、適切にマネジメントすることが欠かせません。そこで重要になるのが、KPI・OKR・KSFといった関連指標の理解と使い分けです。ここでは、それぞれの違いや役割について、経営視点で整理していきます。
KPI(重要業績評価指標)とは
KPI(Key Performance Indicator)とは、KGIを達成するために必要な具体的な取り組みの流れや行動ステップ(プロセス)や進捗状況を数値で評価する指標のことです。
KGIが「最終ゴール」だとすれば、KPIはそこへ至るまでの「道のり」を測るメジャーのような存在です。
たとえば、KGIが「年間売上を20%増加させる」なら、KPIとしては次のような指標が設定されます。
- 月間の売上成長率
- 新規顧客の獲得数
- 顧客満足度スコア
KPIは、日々の行動や施策が“戦略に貢献しているか”を確認するための道しるべです。これにより、現場が“何を重視して動くべきか”を把握し、必要に応じて軌道修正を行うことができます。経営陣にとっても、部門別やチーム別の動きが数値で把握できるため、マネジメントの精度が格段に高まります。
OKR(目標と主要な成果)の特徴
OKR(Objectives and Key Results)は、「目標(O)」と「その達成状況を示す主要成果(KR)」をセットで管理するフレームワークです。Googleなどの先進企業が採用していることで知られ、特に変化の激しい環境でスピード感ある成果を求める組織に有効です。
OKRの特長は次の通りです。
- 通常、四半期単位で設定・見直しを行う
- 挑戦的な目標が推奨され、必ずしも100%の達成を前提としない
- 全社・部門・チームで目標の「見える化」と「共有」を行い、連動性を持たせる
例)
Objective(目標) | 新しい市場に進出する |
Key Results(主要成果) | ・市場調査を実施 ・見込み顧客を50社獲得 ・初月売上100万円を達成 |
OKRは、社員一人ひとりの“挑戦意欲”を引き出し、チーム全体のエンゲージメントを高める仕組みとしても有効です。
KSF(重要成功要因)とは
KSF(Key Success Factors)は、特定の事業やプロジェクトにおいて、成功を左右する「カギとなる要素」を意味します。KGIやKPIのように数値で測ることができる「定量的な指標」は異なり、KSFは戦略の土台となる重要な成功条件を指摘するもので、必ずしも数値化されるとは限りません。
例)
製造業 | 高い品質基準の維持、熟練技術者の育成 |
小売業 | 立地戦略、顧客対応力 |
IT業界 | スピード感のある開発体制、セキュリティ対応力 |
KSFは、「この要因がなければ成功はあり得ない」と言えるような要素です。そのため、経営戦略の立案や、新規事業の立ち上げ段階で特に重視されます。
これらの指標はどう連携すべきか?
- KGIは“最終ゴール”
- KPIは“日々の進捗を測る手段”
- OKRは“短期サイクルで挑戦と成果を管理するフレーム”
- KSFは“成功の前提条件”
このように、各指標は互いに補完関係にあります。
たとえば、ある企業が「新規事業で年商1億円達成(KGI)」を掲げたとします。そのために「月間100件のリード獲得(KPI)」を目指し、「3か月以内に市場参入&初回受注(OKR)」を設定します。その前提として、「競合よりも早く商品やサービスを市場に出せる開発体制(KSF)」が必要だと判断される――このように、それぞれの役割を理解し、組み合わせて設計することが成果への近道です。
指標を「つなげて」活用する視点を
KPI、OKR、KSFとKGIは、それぞれ単体で使うものではなく、戦略の全体像を構築する“パズルのピース”です。経営者や人事担当者は、これらの関係性を正しく理解し、自社の状況やフェーズに応じて適切に活用することが求められます。
とくに中堅・中小企業では、すべての指標を完璧に管理するよりも、シンプルかつ実行可能な形で導入・運用することが成功への近道となります。
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KGIとKPIとの関係性

――「ゴール」と「進捗管理」をつなぐ戦略的ペア
前節でKGIとKPIの役割の違いについて触れましたが、ここでは「両者の連携」がなぜ重要なのか、そしてどのように組み合わせてマネジメントしていくかを掘り下げていきます。
KGIは「最終ゴール」、KPIは「進行状況を測るもの」
KGI(Key Goal Indicator)は、企業や組織が最終的に達成すべき成果を数値で示すものです。一方、KPI(Key Performance Indicator)は、その成果へ向かうまでの過程や進捗状況を管理する指標です。
言い換えるなら、KGIは「目的地」、KPIはそこにたどり着くまでの「チェックポイント」。
KGIが「年間売上10億円の達成」であれば、KPIには「月次売上成長率」「新規顧客獲得数」「リピート率」などが設定され、進捗が日々追跡されます。
KPIの数値が停滞していれば、いずれKGIの達成も危うくなります。つまり、KGIとKPIは“片方だけでは機能しない”セットであることがわかります。
なぜ連携が重要か?
KGIは経営の「北極星」としての役割を果たしますが、それだけでは実務には落とし込めません。現場の社員が日々の業務で意識できるのは、自分が今取り組んでいる業務や行動が成果にどう結びつくかという具体性です。ここにKPIが機能します。
たとえば、「新規市場で売上を20%拡大する(KGI)」という目標を掲げた場合、そのために
- 月間の新規契約数
- 市場への広告露出数
- 資料請求数(リード獲得)
などをKPIとして定めてモニタリングしていけば、「進捗がどこで停滞しているのか」「打ち手が効果を発揮しているのか」が把握でき、必要に応じて戦略や予算配分を修正できます。
KPIはKGIを“行動レベル”に落とし込むためのツール
KGIだけを掲げても、現場は「で、私は何をすればいいんですか?」という状態になりがちです。KPIはそのような“経営と現場の断絶”を埋める橋渡し役です。
たとえば、KGIが「既存顧客の売上比率を高める」なら、営業部門には
- 「既存顧客への提案回数」
- 「アップセル提案率」
- 「顧客単価の前年対比」
といったKPIを設定することで、具体的な行動や成果の期待値が明確になります。
これにより、経営者は数字で進捗を把握でき、現場は自分の動きが戦略にどう貢献しているのかを理解できるようになります。
KPI設定のポイント:抽象化せず、測定可能に
KPIを設定する際の注意点は、「抽象的すぎる指標」にしないことです。たとえば、「お客様満足度を上げる」といった表現では、何をどうすればよいのかが不明確です。これを「顧客アンケートの満足度スコアを8.5以上にする」と数値化すれば、進捗も改善余地も見えるようになります。
良いKPIの条件は以下の通りです。
- 具体的であること
- 定量的に測定できること
- 日常業務に根ざしていること
- 実行可能で、行動につながること
KPIを“見える化”することで組織は動き出す
KPIは、単なる数値目標ではありません。それはKGIに向かう道を照らす“進捗メーター”のような存在です。
- 定期的にKPIを確認し
- 部門やチームで共有し
- 結果に応じて取るべき行動を見直す
このサイクルが回っている組織は、現場が自走し、戦略と実務が連動する強い組織になります。
KGIとKPIは“目的と手段”の関係
KGIとKPIは、「何を達成するのか」と「どう達成するのか」という目的と手段の関係です。
経営者や人事担当者は、KGIだけで満足せず、「このKGIを実現するには、どんなKPIが必要か?」を常に考える必要があります。そして、KPIを通じて日常業務に“戦略の意図”を落とし込むことこそが、戦略実行の第一歩です。
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KGI設定で失敗する要因

目標が具体的でない
KGIの設定においてよく見られる失敗の一つは、目標が具体的でないことです。目標が曖昧であったり抽象的であると、組織全体が何を目指しているのかが明確にならず、結果的に従業員一人ひとりが自分の役割を理解しないまま、業務を進めてしまうことになります。目標を明確に数値化し、達成するべき指標を具体的に設定することが重要です。
たとえば、「売上を増加させる」という抽象的な目標よりも、「2024年度の売上を20%増加させる」といった形で具体的に数値を明記することで、組織全体が同じ目標に向かって行動できるようになります。目標が具体的であるほど、その達成に向けた行動計画が立てやすくなり、進捗を効果的に追跡できるようになります。
また、KGIの目標が具体的であることによって、進捗状況を可視化しやすくなります。これにより、戦略の修正やリソースの再配分が迅速に行えるようになり、最終目標に向けての道筋が明確になります。
過度に挑戦的な目標設定
KGIの目標が過度に挑戦的である場合、達成が困難に感じられ、従業員のモチベーションを低下させる可能性があります。もちろん、挑戦的な目標を掲げること自体は組織にとって非常に重要ですが、その目標が現実的であることも同様に重要です。達成不可能と思える目標は、従業員に不安やストレスを与えることになり、結果としてパフォーマンスの低下を招く可能性があります。
挑戦的な目標を掲げることは、従業員のやる気を引き出し、組織の成長を促進する力を持っています。しかし、挑戦的すぎる目標は逆効果になることが多く、現実的な目標とのバランスを取ることが重要です。適度な挑戦を伴ったKGIを設定することで、従業員は成長の機会を得ると同時に、達成可能な目標に向かって着実に進むことができます。
KPIと連携していない
KGIを設定する際に、KPIとの連携が不十分な場合も失敗の原因となります。KGIは最終的な目標を示すものであるため、そこに至る過程でどのような進捗があるかを測るKPIが欠かせません。KGIとKPIが連動していなければ、目標達成の進捗を正確に把握することが難しくなり、改善や戦略の修正が遅れる原因となります。
たとえば、「新しい市場での売上を20%拡大する」というKGIがある場合、それを達成するためにKPIとして「新規顧客獲得数」や「広告の効果測定」などの指標を設定し、進捗を評価することが求められます。KPIが適切に設定されていないと、KGIに向けた具体的な行動が計画的に進んでいるかどうかが分からず、最終目標の達成に遅れが生じる可能性があります。
評価基準が曖昧
KGIの達成度を評価するための基準が曖昧であると、組織全体が目指すべきゴールに対して混乱を感じる可能性があります。KGIは、誰が見ても明確に判断できるような評価基準を設ける必要があります。たとえば、「顧客満足度を向上させる」という目標だけではなく、「顧客満足度を85%以上に引き上げる」といった具体的な数値目標を設定することが重要です。
評価基準が明確でない場合、従業員は自分たちが何を達成すべきかを正確に理解することができません。それにより、組織全体の取り組みが分散し、目標達成に向けた努力が統一されない可能性があります。評価基準を具体的に設定することで、組織全体が同じ方向に向かって効果的に行動することができます。
絶対に達成する目標を設定するべきか
確実に達成できる目標のメリット
確実に達成できる目標を設定することには、組織に安定感を与え、従業員の士気を高める効果があります。例えば、売上目標やコスト削減目標が設定されており、これが確実に達成できるものであれば、従業員は安心感を持ちつつ目標に向かって努力することができます。このような目標は、特に厳しい状況下や組織が困難な変革を迎えている時期には有効です。達成可能な目標を設定することで、全体的な信頼感や組織の一体感を醸成しやすくなります。
さらに、確実に達成できる目標を設定することで、目標達成の成功体験を蓄積することができます。小さな成功を積み重ねることによって、従業員の自信を強化し、より大きな挑戦にも前向きに取り組む姿勢が生まれます。このような成功体験があると、従業員は次なる目標に対しても意欲的に取り組むことができ、組織全体の成長を促進する効果が期待されます。
確実な目標のデメリット
一方で、確実に達成できる目標にはデメリットも存在します。それは、挑戦意欲が低下し、組織の成長が停滞するリスクがあるという点です。簡単に達成できる目標ばかりを設定すると、従業員は目標達成を「当たり前」と感じ、自己成長や組織の革新に対する意欲を失いがちです。挑戦的な目標がないと、組織は保守的な状態に陥り、競争力を失ってしまう可能性があります。
特に競争の激しい業界では、確実に達成できる目標に固執することで、競合他社との差が開いてしまうリスクが高まります。挑戦的な目標を設定することで、組織は成長のための刺激を受け、従業員も成長意欲を持ち続けることができるため、リスクを恐れずに挑戦する姿勢が求められます。
挑戦的な目標を設定するメリット
挑戦的な目標を設定することは、組織の成長を加速させる強力な手段です。挑戦的な目標に取り組むことで、従業員は新たなスキルを習得し、自己成長を図ることができます。難しい目標に向かって挑戦することで、個々の能力が引き出され、チーム全体のパフォーマンスが向上します。特にリーダー層にとって、挑戦的な目標を設定し、組織全体を牽引することは重要な役割となります。
また、挑戦的な目標が組織に与える影響は、単なる数値的な成功にとどまりません。組織の文化に挑戦精神を根付かせることで、イノベーションが促進され、変化に柔軟に対応できる体制が整います。これにより、組織は新しいビジネスチャンスを捉えやすくなり、市場における競争力を高めることができるのです。
適切なバランスを取るためには
確実に達成できる目標と挑戦的な目標の間で適切なバランスを取ることが、組織の持続的な成長を実現する鍵となります。現実的な目標を設定しつつも、その中に一定の挑戦性を織り込むことで、組織は安心感と成長意欲の両方を維持できます。適切なバランスを見つけるためには、組織の現状やリソース、外部環境を考慮し、長期的な視点で目標を設定することが重要です。
目標設定のプロセスにおいては、従業員のフィードバックを積極的に取り入れ、実現可能な目標と挑戦的な目標の両方を反映させることが効果的です。このようなアプローチにより、組織全体が一体となって目標に取り組むことができ、より大きな成果を生み出すことが可能となります。
KGI設定を成功させるためのポイント
具体的で測定可能な目標を設定する
KGI設定を成功させるための最も基本的なポイントは、具体的かつ測定可能な目標を設定することです。KGIは単なる願望や曖昧な目標ではなく、明確に数値化され、進捗が測定できるものである必要があります。たとえば、「顧客満足度を向上させる」という目標では不十分で、「顧客満足度を90%以上に引き上げる」といった具体的な数値目標を設定することで、進捗を正確に把握しやすくなります。
測定可能な目標があることで、組織全体が同じ基準で進捗を評価し、改善すべきポイントを的確に特定できます。これにより、目標達成に向けた具体的なアクションを講じやすくなり、目標達成までのプロセスを効率化することが可能となります。
現実的かつ挑戦的な目標を設定する
KGIを設定する際には、現実的でありながらも挑戦的な目標を設定することが重要です。前述したように、目標が簡単すぎると成長が停滞し、挑戦的すぎるとモチベーションが低下します。そのため、組織のリソースや市場環境を考慮し、達成可能な範囲内で最大限の挑戦を促す目標を設定することが必要です。
現実的でありながら挑戦的な目標を設定することにより、従業員は達成感を持ちながらも成長の機会を得ることができます。これにより、組織全体が一体となって目標達成に向けて取り組む姿勢が生まれ、結果的に目標の達成率も向上します。
進捗を定期的に評価し、修正する
KGI設定において重要なポイントは、進捗を定期的に評価し、必要に応じて目標や戦略を修正することです。ビジネス環境は常に変化しており、当初設定した目標が変動する市場や競争状況に対応しなくなる可能性があります。そのため、定期的に目標の達成度を評価し、必要に応じて戦略やKPIを調整する柔軟性が求められます。
定期的な進捗評価を行うことで、組織は常に最新の状況に基づいて効果的な行動を取ることができ、目標達成に向けた取り組みが滞ることを防ぎます。また、進捗評価は従業員のモチベーション向上にも寄与します。明確な進捗が見えることで、目標達成に向けた努力が具体的な結果として実感でき、次なるステップへのモチベーションが高まります。
チーム全体で目標を共有し、コミュニケーションを図る
KGIの設定は、経営層やリーダー層だけの作業ではなく、チーム全体で目標を共有し、全員が一体となって取り組むことが重要です。目標の共有が不十分だと、個々の従業員が自分の役割や達成すべきことを正しく理解できず、組織全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。KGIが設定されたら、それを全員に対して明確に伝え、目標達成に向けた役割分担を明確にすることが必要です。
また、目標に向けた進捗や課題について、定期的なコミュニケーションを図ることも大切です。進捗状況や課題をチーム内で共有することで、迅速な意思決定が可能となり、問題が発生した際には迅速に対処できます。目標に向けた取り組みが組織全体で統一されることで、より効果的な目標達成が実現します。
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まとめ

KGI(Key Goal Indicator)は、組織やプロジェクトが最終的に達成すべき具体的な目標を示す重要な指標です。KGIの設定は、組織の成功に直結するものであり、組織全体が同じ方向に向かって進むための羅針盤となります。KGIの設定を成功させるためには、具体的かつ測定可能な目標を定め、現実的でありながらも挑戦的な要素を取り入れることが重要です。
また、KGIの達成に向けた進捗をKPIで管理し、定期的に評価・修正を行うことで、ビジネス環境の変化に対応しながら効果的に目標を達成できます。目標達成に向けたプロセスを組織全体で共有し、チーム一丸となって取り組むことで、最終的な成功に近づくことができるでしょう。
監修者

- 株式会社秀實社 代表取締役
- 2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。
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