WEBマーケティングに効くKPIとは?目標設定と改善を導く指標活用法を解説

1 組織戦略・マネジメント

KPIとは何か?WEBマーケティングにおける指標の設定とKGIとの関係を整理し、目標達成に直結するKPI活用法をわかりやすく解説します。

KPI(Key Performance Indicator)は、WEBマーケティングにおける目標達成の道しるべです。適切なKPIを設定・活用することで、施策ごとの効果を数値で把握し、改善すべきポイントが明確になります。つまり、KPIは“成果につながる打ち手”を可視化し、マーケティング活動を戦略的に前進させるための土台です。
本記事では、KPIの基本的な考え方から設定方法、KGIとの関係性、サイトの種類ごとの指標の選び方、そしてビジネスを成功に導くための活用ポイントまでを分かりやすく解説します。

Contents

WEBマーケティングにおけるKPIの重要性

―目標達成と成果につながる「指標」を持たぬマーケティングは、羅針盤なき航海と同じ ―

近年、WEBマーケティングはもはや一部門の業務ではなく、企業全体の戦略と直結する活動へと進化しています。SNSや検索エンジン、Web広告、自社が管理するWebサイトや情報サイト(=オウンドメディア)など、多様化する施策の中で「何が成果につながっているのか」「次に何を強化すべきか」を見誤らずに判断するには、KPI(重要業績評価指標)の設定と運用が不可欠です。

WEBマーケティングにおけるKPIの重要性は、単に数値を記録することではなく、組織の方向性を定め、目標達成に向けた意思決定を支える点にあります。効果的なKPIは、実施した施策の成果を明確にし、戦略の精度を高めるだけでなく、マーケティング活動を“経営の言語”へと変換する役割も果たします。

1.成果の「見える化」で改善の方向が見える

WEBマーケティングでは、感覚や経験だけで施策を進めると、思わぬ方向へ進んでしまうリスクがあります。KPIを設定することで、数値で効果を測ることができる(=定量的に把握できる)ようになり、改善点も明確になります。

たとえば以下のようなKPIが活用されます。

KPIの種類測定内容活用例
ページビュー数サイトや記事が何回表示されたか人気コンテンツの特定と量産戦略に活用
ユーザー数(UU)訪問者数の合計新規集客施策の評価
コンバージョン率サイト訪問者のうち、問い合わせ・購入した割合広告をクリックした人が最初に見るページの内容を見直す「LP改善」や、キャンペーン効果の検証
クリック率(CTR)広告やバナーのクリック割合広告メッセージの改善に活用

たとえば、ある中小企業では「ブログ記事へのアクセスが多い」とわかったことから、そのテーマに関連する記事を強化。結果、見込み客からの資料請求数が2倍に増加しました。

2.明確な目標とチームの行動を結びつける

KPIは、目標達成に向けて組織全体の行動を一致させるための「共通言語」となります。

たとえば「今期のリード獲得数を前年比+20%」という目標を掲げれば、つまり、商品やサービスに関心を持ってくれた見込み顧客からの問い合わせや資料請求の数を増やすという目標を設定すれば、営業、マーケティング、制作チームがそれぞれの立場で戦略を立て、動くことができます。逆に目標が曖昧だと、組織の動きはバラバラになりがちです。

また、週次や月次でのKPIレビュー会議を設け、進捗の「見える化」とチームでの振り返りを行うことで、素早い軌道修正が可能になります。

3.リソースの集中と成果の最大化につながる

特に中堅・中小企業では、限られた人員・予算・時間といった経営資源(=リソース)をどこに投資すべきかが、経営の明暗を分けます。KPIは、施策ごとの成果を「見える化」し、リソース配分を最適化する判断材料となります。

たとえば広告キャンペーンで、クリック率が高くコンバージョンに直結するキーワードに集中投資すれば、少ない予算でも成果は最大化されます。

さらにROI(投資対効果)というKPIを導入することで、「広告に100万円使って、どれだけ売上が上がったか」「そのうち利益に貢献した施策はどれか」まで把握でき、次回以降の施策に確かな根拠を持たせることができます。


経営視点で見るべきポイント

  • KPIを設定しないWEBマーケティングは、効果の検証も改善もできない
  • 数値化された指標は、組織の意思統一と成長戦略を支える共通言語
  • KPIの活用は、目標達成の精度を高めると同時に、売上向上・人件費の最適化・マーケティング予算の有効活用に直結

経営者や人事責任者がKPIの意味と活用を理解し、マーケティング部門に明確な目的を与えることで、部門間連携や「計画→実行→検証→改善」を繰り返すPDCAサイクルの質も大きく向上します。

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WEBマーケティングで設定するKPI項目

― 数字を味方に、施策の打ち手を見極める ―

WEBマーケティングを成果につなげるには、「何を成果とするのか」「どう測るのか」を明確にする必要があります。その基準となるのがKPI(重要業績評価指標)です。

KPIは、施策の評価軸であり、組織の意思決定や戦略を一本化するための指針の役割を担いますあいまいな指標のままでは、チームが同じ方向を向けず、リソースの分散や成果のブレを招くリスクがあります。

とはいえ、KPIと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。事業内容やマーケティングの目的によって、追うべき数値も異なるため、自社の状況に合わせて選ぶ必要があります。

ここでは代表的な4つの視点から、どのようなKPIを設定すべきかを整理します。

1.トラフィック関連KPI

― サイトにどれだけの人が訪れているか ―

トラフィック関連KPIは、自社サイトにどれだけ人が来て、どのように行動しているかを把握するための基礎的な指標です。集客の強弱や、どの流入経路が効果的かを検証する際に欠かせません。

指標名内容
ページビュー訪問者が閲覧したページの総数(興味・関心の深さ)
ユニークビジター数一定期間に訪れた「個別の訪問者」の数(集客の広がり)
セッション数訪問者がサイトを訪れてから離脱するまでの一連の行動数

活用例:

  • ページビューが多い記事やページは「関心の高いテーマ」。そのテーマを深掘りすれば、新たな集客が見込めます。
  • ユニークビジターが増加していれば、新しい顧客層にリーチできている可能性があります。検索キーワードや流入元を分析することで、ターゲットとの接点も明確になります。

2.エンゲージメント関連KPI

― 訪問者がどれだけ中身を見てくれたか ―

サイトを訪れた人がすぐに離れてしまえば、せっかくの集客も成果にはつながりません。そこで重要になるのがエンゲージメント、つまり「関与の深さ」です。単に来訪しただけでなく、どのくらい内容に興味を持ってくれたかを測ります。

指標名内容
滞在時間1回の訪問あたりの平均滞在時間(内容への関心度を示す)
直帰率最初の1ページだけ見て離脱した割合(第一印象の良し悪しが問われる)
ページ/セッション1回の訪問で何ページ見られたか(サイト内の回遊性)

改善のヒント:

  • 滞在時間が短い場合は、文章が読みにくい・内容が薄い可能性があります。読みやすい構成とビジュアル要素の強化が効果的です。
  • 直帰率が高い場合は、ページの導入部分やページ速度を改善し、他のページに誘導する工夫が必要です。サイト構成やリンクの配置をユーザー目線で見直すことがポイントです。

3.コンバージョン関連KPI

―「見た」で終わらせず、「行動」に変える指標 ―

コンバージョンとは、「資料請求」「商品購入」「問い合わせ」など、サイト訪問者実際に何らかの行動を起こしたことを指します。WEBマーケティングの最終的な成果を図るうえで、最も重要な指標群です。コンバージョンは「実際に成果が出たかどうか」を測るため、意思決定や予算配分にも直結するKPIです。

指標名内容
購入数商品やサービスの購入件数
問い合わせ数フォームや電話による問い合わせ件数
登録数メルマガや会員登録の数
コンバージョン率訪問者のうち、何%が行動に移ったか(例:購入に至ったか)

成果を上げるには:

  • 購入ボタンを目立たせる、商品情報をわかりやすくするといった導線設計の見直しが必要です。
  • 問い合わせフォームは項目を絞り、入力のハードルを下げるといった配慮も効果的です。また、ページを開いた瞬間に目に入る内容のわかりやすさや、信頼できる印象を与える工夫も、コンバージョン率の向上につながります。

4.広告パフォーマンス関連KPI

―「広告費」が成果につながっているかを測る ―

WEB広告を活用する企業では、広告の投資対効果をきちんと測ることが必須です。広告にかけたコストに対して、どれだけの成果があったかを見極めるKPIがこちらです。特に近年は、少額でも配信できる広告が増えているため、PDCAを高速に回せる設計が求められます。

指標名内容
クリック率(CTR)広告が表示されたうち、何%がクリックされたか(広告の魅力を測る)
ROAS広告に対して得られた売上の割合(Return On Ad Spend)
インプレッション数広告が表示された回数(認知の広がり)

改善のコツ:

  • CTRが低い場合は、広告の見せ方やキャッチコピーを見直すこと。画像・文言・どんな魅力を強調しているか(=訴求ポイント)のどれが反応しているかを検証しましょう。
  • ROASを上げるためには、成果につながるターゲットに広告を絞って届けることが鍵となります。

なぜ、経営層や人事にもKPIの理解が必要か?

マーケティング部門だけにKPIの理解を任せていては、施策の全社的連動が起きません。たとえば、「問い合わせ数が増えているのに営業が追い切れていない」「採用ページの離脱率が高いのに改善されない」といった現象は、KPIを見ていないことに起因します。

KPIはマーケティングだけでなく、営業、人事、経営の意思決定にも直結する重要な情報源です。

経営者や人事担当者もKPIの種類と意味を理解することで、「何にリソースを集中すべきか」を判断する材料を得ることができます。

KPIの設定で関わるその他の要素

― 単なる数値設定では終わらない「意味のある指標」のつくり方 ―

KPI(重要業績評価指標)は、WEBマーケティングを数値で評価するための大切な物差しですが、「ただの数字」を並べるだけでは意味をなしません。KPIが経営目標ときちんとつながっているか、そして現場で実際に使われ、改善に活かされているかどうかが、その有効性を左右します。

見せかけのKPIでは、チームの行動が空回りすることもあります。設定したKPIが「なぜこの数値を追うのか?」という納得感を持てるものであることが、チームの自律的な改善行動にもつながります。

ここでは、KPI設定時に特に注意すべき3つのポイントを解説します。

1.KGIとの整合性

― ゴールから逆算してKPIを設計する ―

KPIを設定する際は、最終的に目指す成果(=KGI:Key Goal Indicator)ときちんとつながっているかを確認する必要があります。

たとえばKGIが「年間売上1億円の達成」であれば、それを現実的なステップに落とし込んだKPIとして、「月間売上額」「新規顧客の獲得数」などを設定します。つまり、KPIはゴール達成までの「マイルストーン(中間目標)」です。最終ゴールが明確だからこそ、途中経過の数値もブレずに追うことができます。

KGIとKPIの関係は、以下のように整理できます。

種別意味
KGI最終的なビジネスゴール年間売上1億円の達成
KPI進捗を測る中間指標月間売上800万円、新規顧客30件

KGIに直結しないKPIを設定してしまうと、いくら数値を追っても企業の成果にはつながりません。KGIから逆算し、「なぜこの指標を追うのか?」が明確なKPIを設計することが大切です。さらに、日々のKPIが最終目標であるKGIに向かう“道筋”として適切に機能しているかを、定期的に見直す視点も欠かせません。

2.SMART原則に沿って設計する

―「がんばる」ではなく、「いつ・何を・どれだけ」まで具体化する ―

KPIを形だけで終わらせないためには、SMART原則に基づいた設定が効果的です。これは以下の5つの視点を持つことを意味します。

項目内容解説例
Specific具体的であること「訪問数」ではなく「月間訪問数」など
Measurable測定可能であること数字で進捗を追えるようにする
Achievable達成可能であることチームや予算に見合った目標
Relevant目的に関連していることKGIにつながる指標か?
Time-bound期限が明確であること「3ヶ月以内」「4月〜6月中に」など

たとえば、
「ウェブサイトの月間ユニークビジターを3ヶ月以内に20%増やす」
というKPIは、SMARTの5要素すべてを満たしており、チーム全体が共通認識を持ちやすい形です。曖昧なKPIでは、現場での行動が定まらず、振り返りや改善も困難になります。SMART原則は「誰が見ても分かる」「振り返りやすい」KPIを設計するうえで、重要な考え方のひとつです

3.データの信頼性

―「正しい数字」を追うことが、正しい判断につながる ―

KPIは数字で判断するからこそ、その数字の「出どころ」が正確であることが非常に重要です。誤ったデータに基づいて意思決定をしてしまえば、逆に成果を遠ざけることになりかねません。

実務での注意点

  • アクセス解析にはGoogle Analyticsなど信頼性の高いツールを活用する
  • データ収集・計測ルールを社内で統一する(誰が見ても同じ基準で比較できるように)
  • 定期的にレポートの元データを確認し、数値の異常値や測定ミスがないかを点検する

「この数値で判断して本当に大丈夫か?」という問いを持ち続けることが、データ精度の維持と的確な意思決定につながります。正確なデータに基づいてKPIを設定・運用することで、施策の改善にもブレがなくなり、結果としてマーケティングの質そのものが向上します。


KPIは「全体戦略」と「日々の行動」をつなぐ橋

KPIは、ただの数字ではなく、経営戦略と現場の行動をつなぐ“橋”のような存在です。KGIとの整合性、SMART原則に基づいた設計、そして信頼できるデータに裏付けされた運用――これらがそろって初めて、KPIは本当に価値ある経営指標になります。その橋が強固であればあるほど、戦略と実行のギャップを埋め、成果へと導く流れが太くなっていくのです。

KPIの設定方法

― ゴールから逆算し、現場が動ける指標を設計する ―

KPI(重要業績評価指標)の設定は、会社全体で目標達成に向かって動くための「組織設計作業」です。明確なビジネス目標と現場の実行を結びつけるために、以下の4つのステップを押さえることが重要です。

1.ビジネス目標の明確化

― KPIの出発点は「何を達成したいか」 ―

まずは、KPIの基盤となるビジネスの最終目的(ゴール)を明確にすることが第一です。これが曖昧なままだと、設定するKPIにも一貫性が生まれません。

  • 年間売上を20%増加させたい
  • 新規顧客を月に100件獲得したい
  • ブランド認知度を上げたい(例:SNSフォロワー数や指名検索数の増加)

これらの目標がはっきりすれば、次にどんな指標を追えば目標に近づけるかを考えることができます。

2.適切なKPIの選定

― ゴールに直結する“意味のある指標”を選ぶ ―

目標に合わせて、どのようなKPIを設定するかを選びます。前章で紹介したように、KPIにはいくつかの分類があります。

目標例選ぶべきKPIの例
売上拡大ページビュー数、CV(購入数)、CTR、ROASなど
新規顧客獲得ユニークビジター数、リード数、問い合わせ数
ブランド認知インプレッション数、SNSエンゲージメント率

たとえば、「売上を増やしたい」のであれば、単に広告を出すだけでなく、「どれだけの人が来て、どれだけ購入したか」までを追えるKPIが必要です。

3.KPIの基準値設定

― チームが動ける「具体的な数字」に落とし込む ―

KPIを設定する際は、「どのくらいを目指すのか」という数値目標も同時に定めます。これにより、チーム全体で進捗を可視化しやすくなります。

  • 「月間ユニークビジター数を5万人に増加させる」
  • 「問い合わせ数を前年比+30%にする」

この基準値は、過去の実績や市場環境をふまえて達成可能な水準(=ストレッチ目標)に設定することが重要です。。現場のモチベーションが下がるだけでなく、会社としての目標達成が現実的でないものになりかねません

4.モニタリングとフィードバック

― 設定したら終わり、ではなく“育てるKPI”へ ―

KPIは、定期的に進捗を確認し、必要に応じて見直すことで効果を発揮します。単に数字を眺めるのではなく、「なぜ届いていないのか」「何を変えるべきか」を現場と一緒に考えることが大切です。

実践例

  • 月1回のKPIレビュー会議を設定し、データに基づいて改善点を話し合う
  • 達成度に応じて施策を微修正(例:広告のデザインや文章の見直しや、誰に届けるかという対象層の調整)

また、フィードバックは「できていない点の指摘」だけでなく、改善の方向性を具体的に示すこと(例:次月は◯◯を追加実施)が成果につながります。


KPIは「見える目標」であり、組織を動かす設計図

KPIの設定は、会社の戦略を現場レベルまで落とし込むための具体的な仕組みであり、単なる報告用の数字作りではありません。「目標を現実にするために、何をどこまでやればいいのか」を可視化することであり、それが組織の一体感と成果創出につながります。

WEBサイトによっても重要視すべきKPIは異なる

― サイトの目的に合わせた「見るべき数字」を知る ―

WEBマーケティングにおいてKPIは欠かせない指標ですが、すべてのWEBサイトで同じKPIを追えば良いわけではありません。WEBサイトには目的に応じた「成果の形」があり、それによって重視すべきKPIは変わります。

ここでは代表的な3タイプのサイト別に、注目すべきKPIと改善のヒントを整理します。

1.ECサイト(商品を「売る」ことが目的)

ECサイトでは、売上に直結する指標が最重要となります。訪問数が多くても、購入に至らなければ意味がありません。

主なKPI

  • 購入数
  • 平均注文額
  • カート放棄率(商品をカートに入れたまま購入されない割合)

改善の視点

購入数を増やすには?
  • 商品ページの情報を充実させる(例:写真・商品の具体的な性能や特徴・レビュー)
  • 購入ボタンの配置を工夫し、決済までの導線を短くする
  • 限定キャンペーンやポイント特典で購入を後押しする
カート放棄率を減らすには?
  • 決済ステップを少なくし、スムーズな購入体験を提供
  • 一度カートに入れた人にリマインドメールを送る
  • 配送料や在庫情報を事前に明示し、不安要素を排除する

2.コンテンツサイト(情報提供・ファン化が目的)

ブログやメディアなどのコンテンツサイトは、訪問者との関係を深めること(エンゲージメント)が成果を左右する重要な要素です。

主なKPI

  • ページビュー数
  • 平均滞在時間
  • 直帰率(最初のページだけ見て離脱した割合)

改善の視点

滞在時間を伸ばすには?
  • 読みやすいレイアウトと、画像・動画などのビジュアル要素を活用
  • コンテンツの質を高め、「読み続けたくなる」記事を用意
  • 訪問者が参加できる要素(例:クイズ、アンケート)を導入
直帰率を下げるには?
  • 関連記事や人気記事の表示で他ページへの導線をつくる
  • 記事内に内部リンクを自然に配置し、回遊性を高める
  • ページの読み込み速度を改善し、離脱を防ぐ

3.リードジェネレーションサイト(見込み顧客の獲得が目的)

企業向けのサービスや製品を紹介するWEBサイト(=BtoBサイト)や資料請求サイトなど、「問い合わせ」や「会員登録」が目的のサイトでは、どれだけ多くの見込み客を獲得できたかが成果となります。

主なKPI

  • 問い合わせ件数
  • フォーム送信数
  • リード獲得数(メールアドレスの取得、資料請求など)

改善の視点

フォーム送信数を増やすには?
  • フォームの項目を絞って入力のハードルを下げる
  • 「資料ダウンロード」「限定特典」など、訪問者の行動を促すための特典(=インセンティブ)を設置
  • フォーム周辺のデザインやコピーに安心感・魅力を持たせる
リード獲得数を伸ばすには?
  • ウェビナーや無料eBookなど、登録する価値のあるコンテンツを提供
  • ターゲット層に合わせた広告・SNSキャンペーンを展開
  • LP(ランディングページ)を最適化し、信頼感と利便性を高める

目的なきKPIは、成果に結びつかない

WEBサイトごとに「何をゴールとするか」が異なる以上、それに応じたKPIを設定することは必須です。
間違ったKPIを追えば、頑張っても成果につながらず、現場にも混乱が生じます。

逆に、正しく設定されたKPIは、チーム全体の判断基準となり、限られたリソースで成果を最大化する武器になります。

ビジネスを成功に導くためのポイント

― KPIは「数字を追う」だけでなく、「行動を変える」仕組み ―

KPI(重要業績評価指標)は、適切に設定するだけでは不十分です。成果につなげるには、「運用の仕方」こそが肝心です。ここでは、KPIを本当に成果へと導くために押さえておきたい3つの実践ポイントをご紹介します。

1.継続的なモニタリングと改善

― 設定して終わりではなく、常に動かす ―

前の節では、KPIは設定して終わりではなく、「モニタリングとフィードバック」を通じて育てていく必要があるとお伝えしました。ここではその考えを踏まえ、実際の運用でどう進捗を確認し、改善につなげるかをより具体的に掘り下げていきます。

KPIは「一度決めたらあとは放置」で効果を発揮するものではありません。定期的な進捗確認と改善の繰り返しが、成果につながるKPI運用の本質です。

KPIの進捗をどう評価するか?

  • 月次や週次でKPIを確認し、目標との差分を可視化
  • Googleアナリティクスやダッシュボードで数値をリアルタイム把握
  • 必要に応じて「なぜ伸びないのか」を具体的に議論

進捗を受けてどう動くか?

  • トラフィックが伸び悩む → 検索結果で上位に表示されるよう工夫するSEO対策(検索エンジン最適化)・記事テーマの見直し
  • コンバージョン率が低い → LP(ランディングページ)の改善、問い合わせフォームの簡素化
  • 目標に未達でも、「現状→原因→対応策」をチームで共有することで、機動的な修正が可能になります。

2.チーム全体の理解と共有

― KPIは“現場任せ”にせず、全員で向き合う ―

KPIは現場だけの指標ではありません。チーム全員が目標の意味を理解し、納得したうえで取り組むことが成功の前提です。

目標設定への「巻き込み」が成果を変える

  • KPIを一方的に“与える”のではなく、設定の段階からメンバーを参加させる
  • ワークショップや意見交換を通じて、「現場にとって意味のあるKPI」に落とし込む

共有することで“自分ごと化”が進む

  • 週次・月次ミーティングでKPIの進捗や改善点を共有
  • 他部署と横断的にデータを見ながら、「部門連携で何ができるか」を議論する
  • KPI達成が「個人の努力」ではなく「チームで取り組む目標」として認識されるようになります

3.効果的なコミュニケーション

― 数字の共有は“伝え方”が9割 ―

KPIがチームに浸透し、日々の行動を変えるには、数値をわかりやすく、タイムリーに共有する仕組みが欠かせません。

レポートとダッシュボードの活用

レポート月次で細かく進捗を分析し、原因と対策を記述
ダッシュボード毎日の変化をリアルタイムに可視化し、即時の判断材料に

特にマネジメント層には「全体の流れや傾向を把握できる」レポートを、現場には「今日の動きがすぐにわかる」ダッシュボードを提供することで、役割ごとの視点でKPIを活用できます。

成功事例の共有でチームの士気を高める

「○○チームが問い合わせ数を30%増やした」といった具体的な成功事例を社内で発信することで、その成果を生んだ施策や工夫が他チームにも共有され、波及効果が期待できます。こうした取り組みを通じて、KPIは成果を測る指標としてだけでなく、組織全体で「成功体験を共有する文化」を育むツールとしても活用できます。


KPIは“数字”ではなく“組織を動かす力”

KPIは、「チームの行動を揃えるための設計図」です。
継続的な見直しと改善、チーム全体での理解と共有、そして伝わるコミュニケーションによって、KPIは「戦略」を「実行」に変える強力なツールとなります。

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KPIは、マーケティングの羅針盤

WEBマーケティングにおいてKPI(重要業績評価指標)は、単なる数字の指標ではなく、目標に向かって組織が一丸となるための「羅針盤」です。

本コラムでは、KPIの重要性から始まり、項目の選び方、設定方法、チームでの活用法に至るまで、具体的なステップをご紹介してきました。重要なのは、KPIを一度設定して終わりにせず、常に「測り・見直し・改善する」ことを繰り返すことです。

KPIを使いこなすことで、マーケティング活動のどこに力を注ぐべきかが明確になり、施策ごとの効果を見極めることができます。そして、成功事例をチームで共有し、改善に向けた対話を重ねることで、組織全体の実行力とモチベーションの向上にもつながります。

これからKPIの導入や見直しを検討される方は、ぜひ本記事で紹介した考え方や手順を参考に、自社のマーケティング活動に活かしてみてください。KPIは、戦略を机上の空論で終わらせず、「現場で成果を出す」ための実践的なツールです。チーム全体で取り組むことで、その力を最大限に引き出すことができるでしょう。

監修者

髙𣘺秀幸
髙𣘺秀幸株式会社秀實社 代表取締役
2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。

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