組織全体の業務量を可視化することは、従業員の業務負担を把握し平準化することや、生産性向上をはかる上で重要です。加えて、人事評価の公平化や業務品質の標準化など、業務量の可視化は多くのメリットをもたらします。今回は、業務量の可視化を行うメリットや、具体的な方法などについてご紹介します。
Contents
作業負荷とは
作業負荷とは、個人が業務やタスクを遂行する際に経験する心理的、身体的、および認知的な負担の程度を指します。以下に、作業負荷の概念を詳しく説明します。
心理的負荷
心理的負荷は、個人が業務を遂行する際に経験するストレスや圧力の程度を指します。業務の複雑さ、不確実性、および要求される認知的能力の高さによって引き起こされます。高い心理的負荷は、集中力の低下、疲労、または不安を引き起こし、パフォーマンスや健康に影響を与える可能性があります。
身体的負荷
身体的負荷は、業務を遂行する際に身体にかかる負担やエネルギーの要求を指します。重い物の持ち上げ、長時間の立ち仕事、または反復的な動作などが身体的負荷を引き起こします。高い身体的負荷は、筋肉疲労、身体的ストレス、または怪我のリスクを増加させる可能性があります。
認知的負荷
認知的負荷は、業務を遂行する際に必要な思考や知識の量や複雑さを指します。問題解決、情報処理、意思決定などが認知的負荷を増加させます。高い認知的負荷は、集中力の低下、判断力の欠如、または認知疲労を引き起こす可能性があります。
感情的負荷
感情的負荷は、業務を遂行する際に経験する感情的なストレスや不安の程度を指します。職場の環境、人間関係、または業務の性質によって感情的負荷が変化します。高い感情的負荷は、ストレス、不満、または抑うつのリスクを増加させる可能性があります。
時間的負荷
時間的負荷は、業務を遂行する際に時間的な制約や緊急性の程度を指します。締め切り、スケジュールの遅れ、またはタスクの優先順位の変更などが時間的負荷を引き起こします。高い時間的負荷は、ストレスや焦りを増加させ、作業効率や品質に悪影響を与える可能性があります。
社会的負荷
社会的負荷は、業務を遂行する際に経験する社会的な圧力や期待の程度を指します。組織文化、チームの関係、または上司や同僚からの要求によって社会的負荷が変化します。高い社会的負荷は、ストレス、緊張、またはパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。
環境的負荷
環境的負荷は、業務を遂行する際に経験する環境要因や条件の影響を指します。騒音、温度、照明、または作業場の清潔さなどが環境的負荷を引き起こします。高い環境的負荷は、不快感やストレスを増加させ、作業効率や快適性に悪影響を与える可能性があります。
技術的負荷
技術的負荷は、業務を遂行する際に経験する技術的な複雑さや要求の程度を指します。新しいシステムやソフトウェアの導入、データの解析、またはデジタルツールの使用などが技術的負荷を増加させます。高い技術的負荷は、学習曲線の急激な上昇や技術的なストレスを引き起こす可能性があります。
これらの作業負荷要因は相互に影響し合い、個人のパフォーマンスや健康に影響を与える可能性があります。適切な作業負荷管理は、ストレスや疲労の軽減、パフォーマンスの向上、および健康の維持に重要です。
業務量とは何を表しているのか
業務量は、組織内で行われる業務やタスクの量や規模を指します。これは、組織が日々遂行する業務の総量や範囲を示し、組織の活動や業務遂行の規模を定量的に評価するための指標として使用されます。業務量の概念には、以下のような要素が含まれます。
業務の種類と範囲
業務量は、組織が遂行する業務やタスクの種類とその範囲を表します。これには、製品やサービスの生産、顧客サポート、管理業務、営業活動、マーケティング、研究開発、およびその他の組織活動が含まれます。業務の種類や範囲は、組織の業務量を理解する上で重要な役割を果たします。
作業量と労働時間
業務量は、組織が特定の期間内に行う作業の量や労働時間を示します。これは、個々の従業員やチームが日々行う業務の量や労働時間を合計したものです。労働時間の長さや作業の多寡は、業務量の大きさを示す重要な指標です。
業務の複雑さと難易度
業務量は、業務の複雑さや難易度を表す要素も含みます。一部の業務は単純で簡単なものであり、他の業務は複雑で専門的なスキルや知識を必要とする場合があります。業務量の概念には、このような複雑さや難易度を反映した要素が含まれます。
資源の使用
業務量は、組織が必要とする資源の量や種類を表します。これには、人員、財産、設備、技術、およびその他のリソースが含まれます。業務量が増加すると、組織はより多くの資源を必要とする可能性があります。
業務の優先順位と重要度
業務量の概念は、業務やタスクの優先順位や重要度を表す要素も含みます。特定の業務がより重要で緊急である場合、それらの業務に対する注力やリソースの割り当てが増加することがあります。業務量の理解には、業務の優先順位や重要度を考慮することが不可欠です。
業務の変化と動向
業務量は、時間の経過とともに変化する組織の業務の動向を示すことがあります。業務量の変化や動向を理解することは、組織がリソースを効果的に管理し、戦略的な意思決定を行うために重要です。
生産性と効率性
業務量は、組織の生産性や効率性を評価するための指標として使用されることがあります。業務量が増加する場合、組織はその増加に対処するための効率的なプロセスやシステムを導入する必要があるかもしれません。
目標達成度と成果
業務量は、組織が設定した目標や目的を達成するために必要な業務の量や進捗を評価するための指標として使用されます。業務量が目標達成に対して適切なバランスを保っているかどうかは、組織の成果や成果の達成に影響を与える重要な要素です。
これらの要素を総合的に考慮することにより、業務量の概念は組織の活動や業務遂行の規模や複雑さを理解するための重要な指標となります。組織は、業務量を適切に評価し、管理することによって、効率的なリソースの利用、業務の最適化、および組織の目標達成に向けた戦略的な取り組みを実施することができます。
業務量を正確に把握するためには可視化する事
業務量を正確に把握するためには、可視化が不可欠です。以下に、可視化が業務量を正確に把握するためにどのように役立つかを詳しく説明します。
データの整理と集約
可視化を使用することで、膨大な量のデータを視覚的に整理し、集約することができます。グラフやチャートを用いることで、複雑なデータセットを簡潔にまとめ、業務量の全体像を把握することができます。これにより、データの理解が容易になります。
トレンドの把握
可視化を通じて、時間の経過とともに業務量がどのように変化しているかを把握することができます。時系列データをグラフに可視化することで、業務量のトレンドや季節変動を視覚的に確認することができます。これにより、業務量の変化を追跡し、将来の予測や計画を立てることが可能になります。
比較と対比
可視化を使用することで、異なる業務量を簡単に比較することができます。複数のデータセットを同じグラフ上に表示することで、異なる期間や部門、プロジェクト間の業務量を対比することができます。これにより、業務量の違いやパターンを素早く把握することができます。
異常値の検出
可視化を使用することで、業務量の異常値や外れ値を容易に検出することができます。グラフやチャート上で業務量の変化を視覚的に確認することで、異常な変動や極端な値を素早く識別することが可能です。これにより、問題や課題の早期発見や対処が可能になります。
業務の分布の理解
可視化を通じて、業務がどのように分布しているかを理解することができます。業務の分布をヒストグラムやピエチャートなどで可視化することで、各業務の割合や比率を視覚的に把握することができます。これにより、業務の重要性や優先度を明確にすることができます。
チームや個人の負荷管理
可視化を使用することで、チームや個人の業務負荷を管理することができます。業務量をグラフやダッシュボードに可視化することで、各メンバーの業務量や負荷を把握し、適切にリソースを割り当てることができます。これにより、業務の均等な分配や負荷の適切な管理が可能になります。
進捗状況のモニタリング
可視化を使用することで、業務の進捗状況をリアルタイムでモニタリングすることができます。進行中のプロジェクトやタスクの進捗をグラフやガントチャートで可視化することで、達成状況や遅れが一目でわかります。これにより、業務のスケジュール管理やタイムリーな調整が可能になります。
効果的なコミュニケーション
可視化を使用することで、業務量や進捗状況を効果的に伝えることができます。グラフやダッシュボードを使用して、業務の状況や成果を視覚的に示すことで、チームやステークホルダーとのコミュニケーションが円滑になります。これにより、情報共有や意思決定プロセスが迅速化され、業務の効率性が向上します。
可視化は業務量を正確に把握するための強力なツールです。データの整理と集約、トレンドの把握、比較と対比、異常値の検出、業務の分布の理解、チームや個人の負荷管理、進捗状況のモニタリング、そして効果的なコミュニケーションといった側面から、可視化が業務量の把握にどのように貢献するかを理解することが重要です。
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業務量を可視化するメリット
業務量の可視化は、組織やプロジェクトチームが直面する課題を理解し、解決策を効率的に導き出す上で不可欠です。このプロセスは、タスク、プロジェクト、または日々の業務の進行状況を視覚的に表現し、チームの生産性、効率性、そして透明性を高めることを目的としています。以下では、業務量を可視化することのメリットについて、詳しく解説します。
コミュニケーションの改善
業務量を可視化することで、チームメンバー間のコミュニケーションが大幅に改善されます。可視化は、個々のタスク、責任、期限など、プロジェクトの各側面に関する明確な理解を提供します。これにより、誤解が減少し、チームメンバーは共通の目標に向かってより効果的に協力できるようになります。
業務の透明性の向上
可視化により、業務の状況や進捗が明確になります。チームや組織全体が同じデータを共有し、実際の業務量について正確に把握することができます。
データの理解の容易化
グラフやチャートを使用することで、複雑なデータセットや数字を理解しやすくなります。可視化によって、業務量のパターンや関係性を直感的に把握できます。
業務の優先順位付け
可視化されたデータを分析することで、業務の優先順位を付けるのに役立ちます。どの業務が最も重要かを把握し、リソースを適切に割り当てることができます。
問題の早期発見
可視化により、業務の異常値やパターンを素早く識別することができます。これにより、問題が発生する前に早期に対処することができます。
効率的なリソースの割り当て
チームやプロジェクトの業務量を可視化することで、リソースの割り当てをより効率的に行うことができます。どの部門やプロジェクトが過剰に負荷されているかを把握し、バランスの取れたリソース配分を行うことができます。
目標の設定と追跡
可視化を使用して、業務量の目標を設定し、それらの目標の進捗を追跡することができます。目標との比較により、業務の進行状況を把握し、必要に応じて調整を行うことができます。
意思決定のサポート
可視化されたデータを基に、組織の意思決定をサポートすることができます。データに基づいた意思決定を行うことで、より的確な判断を下すことができます。
ストレスの軽減
可視化により、業務量や進捗状況が明確になるため、チームメンバーや従業員のストレスが軽減されます。業務の把握が容易になることで、業務の達成可能性や進捗状況を確信することができます。
顧客サービスの向上
可視化されたデータを使用して、顧客サービスの質や効率を向上させることができます。業務量の分析により、顧客のニーズや傾向を理解し、それに応じたサービスを提供することができます。
業務プロセスの改善
可視化によって、業務プロセスやタスクの効率性や効果を評価し、改善することができます。業務量の可視化を通じて、無駄な作業や遅延があるかを特定し、プロセスの最適化を行うことができます。
チームモチベーションの向上
可視化されたデータを共有することで、チームのメンバー間での共通の目標や進捗状況を把握しやすくなります。これにより、チームモチベーションが向上し、業務の効率性や生産性が高まります。
組織文化の促進
業務量を可視化することで得られるメリットは多岐にわたります。可視化によって、組織全体の透明性や情報共有が促進されます。
組織内のメンバーが同じデータを参照し、共通の理解を持つことで、協力や連携が促進され、組織文化が向上し、業務の透明性や効率性を向上させ、組織全体の成果や競争力を高めることにつながります。これにより、コミュニケーションが改善され、進捗の追跡が容易になり、リソース管理が最適化され、プロセスの透明性が向上します。また、より良い意思決定の支援、モチベーションとエンゲージメントの向上、そして継続的な改善の促進が可能になります。
業務量を測定・数値化するには
業務量を測定・数値化することは、組織の生産性を向上させ、リソースを効率的に配分するために非常に重要です。業務の量と質を正確に理解することで、適切な計画、実行、および改善策を立てることが可能になります。以下では、業務量を測定・数値化するためのステップと方法について詳しく解説します。
業務プロセスの理解と定義
業務プロセスのマッピング
業務量を測定する前に、現在の業務プロセスを完全に理解し、マッピングすることが重要です。各ステップを文書化し、関連するタスクや活動を特定します。
業務の範囲の定義
測定する業務の範囲を正確に定義し、どの活動が含まれるかを明確にします。これには、日常的なタスク、プロジェクト作業、繰り返し発生する活動などが含まれます。
キーパフォーマンスインディケーター(KPI)の設定
KPIの選定
測定する業務量に関連するキーパフォーマンスインディケーター(KPI)を選定します。これには、タスク完了数、処理時間、エラーレート、顧客満足度などが含まれる可能性があります。
SMART基準
KPIをSMART(特定、測定可能、達成可能、関連性があり、時間に基づいた)基準に沿って設定します。これにより、目標が明確かつ測定可能になります。
データ収集方法の選定
自動化ツールの活用
可能であれば、時間追跡ツールやプロジェクト管理ソフトウェアを活用して、業務量を自動的に記録します。
手動記録
自動化が難しい場合は、手動でタスクの時間を記録する方法を確立します。これには、タイムシートや日報が含まれます。
データの収集と分析
データ収集
定義された期間にわたって、選定したKPIに基づいてデータを収集します。
データ分析
収集したデータを分析して、業務プロセスの効率性、生産性、およびボトルネックを特定します。この分析は、業務量の最適化と改善のための洞察を提供します。
ベンチマークと目標設定
業界ベンチマークの利用
可能であれば、業界ベンチマークを参照して、組織の業務量が適切かどうかを評価します。
内部ベンチマークの設定
自組織内での過去のパフォーマンスデータを利用して、改善のための具体的な目標を設定します。
継続的な監視と改善
定期的なレビュー
業務量に関するデータは、定期的にレビューし、分析する必要があります。これにより、進捗を追跡し、必要に応じてプロセスを調整します。
改善策の実施
分析を通じて特定された問題や改善の機会に対して、具体的な行動計画を策定し、実施します。
業務量を測定・数値化するプロセスは、組織がその効率性と効果性を向上させるための基礎を築きます。このプロセスを通じて、組織はリソースをより賢く利用し、生産性を高め、最終的には競争力を強化することができます。成功の鍵は、明確な目標の設定、適切なデータ収集方法の選定、そして継続的な分析と改善の実施にあります。
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業務量を数値化する際の注意点
業務量を数値化する過程は、組織の効率性を高め、リソースの最適化を図る上で非常に有効です。しかし、このプロセスを正確に実施するためには、いくつかの重要な注意点を理解し、避けるべき落とし穴を把握しておく必要があります。以下に、業務量を数値化する際の主要な注意点を詳しく説明します。
目的と範囲の明確化
明確な目的の設定
数値化の目的を明確に定義することが重要です。何を達成したいのか、どの業務プロセスが関係しているのかを事前に明確にしておく必要があります。
範囲の適切な設定
数値化の範囲を広げすぎると、分析が複雑になり、実用的な結論を出すことが難しくなります。対象とする業務量の範囲を適切に設定し、フォーカスを絞ることが重要です。
データ収集の正確性と一貫性
正確なデータ収集
データの正確性が低いと、分析結果の信頼性が損なわれます。収集するデータの正確性を確保するために、適切なツールや方法を使用し、データ収集プロセスを標準化することが重要です。
一貫性のある方法論
データ収集と分析の方法論を一貫させることで、時間を跨いでデータを比較しやすくなります。方法論が一貫していないと、データ間での比較が困難になり、誤った結論を導く可能性があります。
キーパフォーマンスインディケーター(KPI)の選定
適切なKPIの選定
すべてのKPIがすべての状況に適しているわけではありません。業務の特性と目的に合ったKPIを慎重に選定することが重要です。
過剰なKPIの避ける
多すぎるKPIに焦点を当てると、重要な情報を見落としたり、分析プロセスが過度に複雑になったりすることがあります。最も重要な指標に絞り込むことが肝心です。
時間とリソースの考慮
リソースの割り当て
業務量の数値化は、時間とリソースを必要とします。プロジェクトに十分なリソースが割り当てられていない場合、データの収集や分析が不十分になる可能性があります。
持続可能なプロセスの確立
一度きりの活動ではなく、継続的なプロセスとして業務量の数値化を計画することが重要です。これには、定期的なデータ収集、分析、および改善活動が含まれます。
データの解釈と活用
データの適切な解釈
収集したデータを正しく解釈することが重要です。誤った解釈は、誤った意思決定につながる可能性があります。
アクションプランの策定
数値化されたデータを元に、具体的なアクションプランを策定し、実施することが重要です。データに基づいて取るべき行動が明確でなければ、数値化の努力は無駄になります。
以上が、業務量を数値化する際の主要な注意点です。これらの注意点を考慮して、計画的にアプローチすることで、組織の効率性を向上させることができます。
業務量の数値化の具体例
業務量の数値化は、業務プロセスやタスクの量や効率性を数値化して可視化することを指します。以下に、具体的な業務量の数値化の例をいくつか示します。
実測法
作業時間の計測
実測法では、業務にかかる実際の作業時間を計測します。これにより、作業の時間的な負荷や効率性を定量的に評価することが可能となります。作業時間の計測には、タイムトラッキングソフトウェアやタイマーを使用して、作業の開始時刻と終了時刻を記録する方法が一般的です。
作業量の計測
実測法では、作業量も重要な要素です。作業量の計測には、処理されたデータや作業単位の数を数えることが含まれます。これにより、実際に処理された業務の量を定量的に把握することができます。
データの記録と分析
測定された作業時間や作業量は、適切なデータベースやスプレッドシートなどのツールに記録されます。これらのデータを分析し、業務の量や効率性を評価します。データの分析により、業務プロセスの改善ポイントや効率化のための施策を見つけることができます。
問題の特定と改善
実測法を使用することで、業務プロセスにおける問題点を特定しやすくなります。作業時間や作業量のデータを分析することで、遅延や無駄な時間の発生源を特定し、業務プロセスの改善に取り組むことができます。また、改善施策の効果をデータに基づいて評価し、持続的な改善を行います。
効率性の評価と目標の設定
実測法は、業務の効率性を客観的に評価し、目標の設定に役立ちます。作業時間や作業量のデータをもとに、業務の現状を把握し、目標を設定します。目標設定には、過去のデータや業界標準などを参考にして、現実的かつ挑戦的な目標を設定することが重要です。目標の設定により、業務プロセスの改善方向が明確化され、組織全体の生産性向上につながります。
実測法は、業務の量や効率性を客観的かつ直接的に評価する手法として非常に有用です。作業時間と作業量のデータをもとに、業務プロセスの問題点を特定し、改善策を実行することで、組織の生産性と効率性を向上させることができます。
実績記入表
業務項目の明確化
実績記入表では、各業務項目を明確に定義することが重要です。業務内容や目標を具体的に記載し、実績の記入を容易にします。例えば、データ入力、レポート作成、顧客対応などの業務を個別の項目として明確に記載します。
時間の計測
実績記入表では、各業務ごとにかかった時間を記録します。作業の開始時刻と終了時刻を記入し、実際の作業時間を計測します。このようにして得られた時間データは、業務の量や作業効率を評価するための重要な情報源となります。
作業量の記録
実績記入表には、各業務ごとに処理された作業量や成果物の数量を記録します。例えば、処理したデータの件数、作成したレポートのページ数、対応した顧客の数などを具体的に記入します。これにより、業務の量や成果物の生産性を定量的に評価することができます。
品質の評価
実績記入表では、業務の品質や精度に関する情報も記録します。例えば、処理したデータの正確性やレポートの完成度、顧客対応の満足度などを記入します。品質の評価は、業務の量だけでなく、その品質や価値を客観的に評価するために重要です。
振り返りと改善
実績記入表は、業務の振り返りと改善に活用されます。記録されたデータを分析し、業務の効率性や品質、課題点を把握します。この情報をもとに、業務プロセスの改善施策を検討し、実行します。また、過去の実績データをもとに目標の設定や計画の立案にも活用します。
実績記入表を用いた業務量の数値化は、業務の定量的な評価と改善を促進するための重要な手法です。業務項目の明確化、時間と作業量の計測、品質の評価、そして振り返りと改善のサイクルを通じて、組織の生産性や効率性を向上させることができます。
推定比率表
業務項目の分類と評価
推定比率表では、異なる業務項目を分類し、それぞれの業務に対する作業時間や作業量の推定比率を定義します。例えば、データ入力、顧客対応、プロジェクト管理などの業務を個別の項目として分類し、それぞれの業務にかかる時間や作業量の推定比率を設定します。
推定比率の設定
推定比率は、過去の経験やデータを基に設定されます。過去の業務実績や統計データを分析し、各業務にかかる平均的な作業時間や作業量を推定します。推定比率は、時間と作業量の両方に関して設定される場合があります。
業務の実績との比較
推定比率表では、推定比率と実際の業務実績を比較します。実績記入表やタイムトラッキングデータなどから得られた実際の作業時間や作業量を推定比率と比較し、どの程度推定と実績が一致しているかを評価します。
適時の修正と調整
推定比率表は、業務の特性や状況に応じて定期的に修正や調整が必要です。業務の変化や改善施策の影響を考慮し、推定比率を適宜修正します。また、新しい業務項目が追加された場合や業務プロセスが変更された場合にも、推定比率を調整します。
目標設定と評価
推定比率表は、目標設定や業務の評価に活用されます。推定比率を基に、業務の目標時間や目標作業量を設定します。また、業務の実績と推定比率の比較を通じて、業務の効率性や品質を評価し、改善施策を検討します。
推定比率表を使用した業務量の数値化は、業務の効率性や品質を客観的に評価するための重要な手法です。推定比率を通じて、業務の時間や作業量を効率的に予測し、目標設定や業務改善に活用します。ただし、推定比率の正確性や適用性を確保するために、定期的な修正や調整が必要です。
合成法
業務量の数値化において、合成表は複数の要素を組み合わせて業務量を評価するための重要なツールです。以下に、合成表を使用した業務量の数値化に関する5つの項目を説明します。
要素の統合と評価
合成表では、複数の要素を統合して業務量を評価します。例えば、作業時間、作業量、品質、複雑さなどの要素を組み合わせて、総合的な業務量を評価します。各要素に重み付けを行い、業務量を定量的に評価します。
評価指標の設定
合成表では、各要素に対する評価指標を設定します。作業時間の場合は時間単位で評価し、作業量の場合は数量やページ数などで評価します。品質や複雑さの場合は、評価尺度を設定し、業務の品質や難易度を評価します。
評価要素の重み付け
合成表では、各評価要素に対する重み付けを行います。重み付けは、各要素の重要度や影響度を考慮して決定します。例えば、作業時間よりも品質の方が重要な場合は、品質により大きな重みを割り当てます。
業務量の算出
合成表では、各評価要素の評価値と重み付けを掛け合わせて、総合的な業務量を算出します。これにより、複数の要素を考慮した客観的な業務量の評価が可能となります。算出された業務量は、数値化されたデータとして記録され、分析や評価に活用されます。
目標設定と改善
合成表を使用して算出された業務量は、目標設定や業務改善の基準として活用されます。目標業務量と実績業務量を比較し、達成度や進捗状況を評価します。また、業務量の算出過程を分析し、改善施策を検討します。必要に応じて、評価指標や重み付けの見直しを行い、より正確な業務量の評価を目指します。
合成表を使用した業務量の数値化は、複数の要素を総合的に評価し、客観的な業務量の評価を行うための有用な手法です。評価指標の設定や重み付けの決定、業務量の算出、そして目標設定と改善までを包括的に行うことで、業務プロセスの効率性や品質の向上に貢献します。
まとめ
組織や部門全体の業務量を可視化することで従業員の業務負担を把握し、負担軽減のための対策を行うことができます。さらに、人事評価の公平化や組織全体の生産性向上にも、業務量の可視化が役立つでしょう。
業務量の可視化を行う方法はいくつかあるため、それぞれの特徴をおさえた上で自社に合ったものを選ぶことが大切です。とはいえ手動で業務量を可視化するのは手間がかかるため、その負担を軽減できるツールを導入するのもおすすめです。
監修者
- 2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。
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