独自の個別支援体制により、新入社員・若年社員の離職を防ぎ、早期戦力化を果たす具体的実行策

4 新人研修・キャリア形成

 

はじめに

近年、新入社員・若年社員の早期離職が企業の人材戦略における大きな課題となっています。彼らはデジタルネイティブ世代ならではの高い学習意欲やツール活用能力を持つ一方、ビジネスマナーやコミュニケーション面で不安を抱えがちです。本稿では、秀實社の「独自の個別支援体制」を軸に、離職防止と早期戦力化を両立させる具体的な実行策をご紹介します。

ポイント

①デジタルネイティブ世代への学習ナビゲーション強化

②Z世代のキャリアビジョン設定と専属メンター制度

③リモートネイティブ世代向けOJT+1on1フォローアップ

デジタルネイティブ世代の自律学習力

知らないことがあればその場でごく自然に検索を始めるデジタルネイティブ世代であり、さまざまなツールを扱い答えを導き出すことにかけては、すでに高いスキルを持っています。AIチャットボットが適切なデータを取得することで進化していくように、新入社員の世代は適切なアドバイスを受けることで、想定を超える成果を発揮する可能性に満ちています。

多様性を尊重しつつ安定を求めるZ世代

Z世代はデジタルネイティブな世代であり、多様性への理解や高いITリテラシーを持つ傾向があります。一方で、コロナ禍の影響で、挫折経験が少なく、安定志向が強い側面も見られます。また、情報収集力や分析力も高く、効率的な学習や就職活動を経験していると言えるでしょう。

リモートネイティブ世代が感じるコミュニケーション不安

世代特有の価値観と先輩世代のギャップを感じるだけでなく、学生時代に実際の場面で手取り足取り教わることが難しかったことからも、現在の新卒人材はコミュニケーションやマナーなどに不安を隠せない様子が見受けられます。

  1. ビジネスマナーに不安があり、名刺交換や挨拶のタイミング・方法がわからない
  2. 同じ社会人でも会社やコミュニティによって用いるコミュニケーション方法が異なり、自分が正しい立ち居振る舞いができるか心配
  3. 大学(学校)でもリモート中心の生活だったので、同じ部屋で仕事をするというだけで緊張感が強い
  4. 質問の方法やタイミングが難しい。上司に「直接話しかけて」と言われても声のかけ方に迷う
  5. 自宅やアルバイトでも電話を扱ってこなかったので、電話の取り方を学びたい

これらの世代特性を踏まえ、組織としては次の3つの視点で支援体制を強化することが効果的です。各ポイントについて、具体的な改善策を以下にご紹介します。

具体的実行策

デジタルネイティブ世代への学習ナビゲーション強化

上司は、まず自分が「師匠役」となる意識を持ちましょう。業務で使う資料やWebサイトのリンク集を簡単な一覧にまとめ、チャットやメールで気軽に共有してください。週に一度、「今週使ってよかったツールや記事は?」と問いかけるだけで、新入社員・若手社員は自律的に情報を探し、共有する習慣がつきます。また、短いクイズや振り返りのメールを送って「理解度を確認する場」を設けることで、進捗管理が自然と行えるようになります。

Z世代のキャリアビジョン設定と専属メンター制度

オンボーディング初日に自己紹介シートではなく「自分の得意/苦手を一言ずつ書くワーク」を取り入れてみてください。その後は月1回の雑談時間を設け、「最近気になっている仕事の進め方」など自由テーマで話すだけで、自分ごと化が進みます。上司は面談ログをわざわざクラウドに残さなくても、定例会議の冒頭でひとことずつ共有するだけでOK。チーム全体で「あの子は今こんなことに挑戦しているんだね」と自然に情報が回り、周囲のフォローも得やすくなります。

リモートネイティブ世代向けOJT+1on1フォローアップ

毎日の始業前や終業前に、オンライン/対面いずれでも「今日はここまで進めました」「ここで詰まっています」という一行メッセージをもらいましょう。上司はそれに対し「○○を試してみて」「私も経験あるよ」といった具体例を返信するだけで、安心感が生まれます。対面での名刺交換や電話対応は、スマホで短いロールプレイ動画を撮って見せ合うのも手軽。動画を見ながら一緒に練習すれば、何度でもフィードバックでき、習熟度がぐっと高まります。

これらの小さな意識と工夫を継続することで、新入社員・若年社員は自ら学び、安心して質問し、キャリアを自分ごととして描きながら早期に戦力化していくことが可能になります。

秀實社では毎年4月から、新入社員・若手社員を対象とした「新人即戦力研修トレーニング®」を実施しています。

新人即戦力研修トレーニング®ポイント

1) ケーススタディーを集積した参加型の研修プログラム

 さまざまなケースを踏まえたロールプレイングや実習、グループワークを通じて、新入社員として必須の知識を体感しながら学べます。講師との双方向コミュニケーションはもちろん、グループワークも多く実施し、受講者同士のコミュニケーションを活性化します。その結果、個人学習よりも受講者の理解度を向上させるだけでなく、共に学ぶ仲間と切磋琢磨することでモチベーションや人間関係を醸成します。

2) 組織を知り、役割を知り、「組織人」として貢献・成長するためのマインドトレーニング

入社直後の新入社員研修では、社会人、組織人としての考え方を徹底的に身につけることを重視します。技術や知識を組織のために最大限に発揮してもらうための思考を形成します。自社の特徴、組織とは何か、組織での自分の役割は何なのかを徹底的に考え抜き、理解を深めていただきます。

3)不安に感じているコミュニケーションやマナーについて実践型トレーニング

電話応対や名刺交換など、職場で必要とされるビジネスマナーを、集中トレーニングやロールプレイングで実践的に身に付けます。どのタイミングで報告すべきか、どのように話せば相手に伝わりやすいか、お客様・上司に良い印象を持たれるためにどうすべきか、考え抜き、報連相などの仕事の基本を習得します。

秀實社の「新人即戦力研修トレーニング®」はこちら▼

監修者

髙𣘺秀幸
髙𣘺秀幸株式会社秀實社 代表取締役
2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP