【マトリックス組織とは】そのメリットとデメリット、種類や特徴を徹底解説 

1 組織戦略・マネジメント

マトリックス組織とは、複数の管理構造を組み合わせた組織形態のことですマトリックス組織の基礎知識や期待できる効果などを把握して、ポイントを押さえて問題提起をすると、全社的な理解がより早く進み、提案が採用される可能性が高まります。

本記事では、マトリックス組織の基本知識やメリット・デメリット、実務に役立つ構築ポイントなどを解説します。

Contents

マトリックス組織とは

〜人材を横断的に活用し、事業のスピードと柔軟性を高める仕組み〜

マトリックス組織とは、「職能(機能)別」と「事業(製品・顧客・地域)別」の2つの視点で組織を編成する形態です。
一般的な組織では、営業部、開発部、人事部など縦割り(機能別)に分かれていますが、マトリックス組織ではそれに加えて、たとえば「A事業部」や「東日本プロジェクト」などの横軸も持ち、1人の社員が2つの指揮命令系統のもとで働くという構造になります。

このような構造は、「ダブルボス制(Two-Boss System)」とも呼ばれ、担当業務ごとに異なる上司(機能上司とプロジェクト上司など)から指示を受けるのが特徴です。

たとえば、こんなイメージです

ある営業担当の社員が、「営業部の上司(課長)」の指示を受けつつ、「新製品開発プロジェクトのリーダー」からも同時に依頼を受ける。
このように、社員が縦軸(職能)と横軸(プロジェクト・事業)を行き来しながら業務にあたることで、組織全体の連携とスピードが向上します。

  • 縦のライン:営業、開発、マーケティングなどの専門部門
  • 横のライン:A製品、B製品、C製品といった製品別のチームや、特定顧客・プロジェクト別のチーム
  • 交差点に配置された社員:それぞれの「職能上司」と「事業上司」双方とやり取りしながら業務を遂行

このように、人材の能力を固定された部署だけでなく、組織横断的に最大活用できるのがマトリックス組織の最大の強みです。

なぜ今、マトリックス組織が注目されているのか?

現代のビジネスは、スピード・顧客ニーズの多様化・グローバル対応など、組織に対して高い柔軟性と連携力が求められています。
マトリックス組織は、以下のようなニーズに応える形で導入されることが増えてきました。

  • 多様な専門人材を横断的に活用したい
  • プロジェクトごとに最適なチームを編成したい
  • 顧客志向・事業別の視点を強化したい
  • 部署間の壁をなくし、情報共有を促進したい

とくに製品開発、IT、コンサルティング、グローバル展開企業など、複雑な業務を担う企業で導入が進んでいます。

マトリックス組織の本質は「調整力」と「信頼関係」

ただし、マトリックス組織は「形」をつくるだけでは成果に結びつきません。
重要なのは、2つの指揮命令の間で社員が混乱しないためのルール設計と、職能部門・事業部門の間にある信頼関係の構築です。

マトリックス組織の種類

〜プロジェクト推進の「力のバランス」で分かれるタイプ〜

マトリックス組織は、「職能部門」と「プロジェクト部門」の2つの指揮系統を持つ点が特徴ですが、実際に導入する際には「どちらの指揮系統が強いか?」によって、3つのタイプに分けられます。

それぞれの特徴と向いている状況を見ていきましょう。

1.バランス型マトリックス組織

〜両者の力を釣り合わせ、協働を促す〜

バランス型は、職能部門とプロジェクト部門の力関係がほぼ同等で、両者が協力し合う形で業務を進めます。

プロジェクトごとに専任リーダーを1名配置し、全体の進捗を把握しながらチームをけん引していきます。
一方で、部署や事業部側の上司も存在しており、現場のメンバーは「2人の上司」から指示を受けることになります。

メリット

  • プロジェクトの全体像をつかみやすく、進捗の管理がしやすい
  • 部門間の連携が取りやすく、全体最適を実現しやすい

デメリット

  • 指示の調整に手間がかかる
  • 上司間の連携不足があると、現場で混乱が起きやすい

向いているケース

  • 規模の大きいプロジェクトを複数同時に進めている企業
  • 事業・職能両面での意思決定が重要な組織

2.ストロング型マトリックス組織

〜プロジェクトリーダーが主導する強力推進型〜

ストロング型では、プロジェクト側に大きな権限が集中します。
リーダーはプロジェクト業務に専念できる体制で、他部門のマネージャーよりも強い意思決定権を持つ場合もあります。

プロジェクトの推進力を重視する組織にとっては、非常に効果的な構造です。

メリット

  • 指揮命令が明確で、プロジェクトのスピードが速い
  • 専任のリーダーが意思決定を担うことで、統率力が強まる

デメリット

  • 専任体制の構築に人材・コストがかかる
  • 職能部門の育成や業務との両立が難しくなる場合がある

向いているケース

  • 組織を挙げて取り組む大規模プロジェクト
  • 新規事業開発や短期間での成果が求められる場面

3.ウィーク型マトリックス組織

〜現場メンバーの裁量に任せたフラットな構造〜

ウィーク型では、プロジェクトリーダーを明確に置かず、現場メンバーの裁量で進めていく形式が中心です。
1人ひとりが自分の判断で動き、柔軟かつスピーディに対応することを重視します。

メリット

  • 意思決定のスピードが速い
  • 組織の縛りが少なく、柔軟な対応が可能

デメリット

  • 情報共有が不十分になりやすく、進捗が不安定になることも
  • プロジェクトの質がメンバーの力量に左右されやすい

向いているケース

  • 少人数で進めるスピード重視のプロジェクト
  • スタートアップや臨機応変な判断が求められる業務

どのタイプが自社にフィットするか?

マトリックス組織は、万能ではありません。
だからこそ、以下の観点から自社の特性に合ったスタイルを選ぶことが大切です。

  • プロジェクトにどれだけの権限と予算を持たせたいか?
  • 現場メンバーの自律性や経験値はどの程度あるか?
  • 組織の文化は「調整型」か「トップダウン型」か?

また、初めはウィーク型やバランス型から導入し、成果や課題を見ながらストロング型に進化させる、というステップを踏むのも有効です。

マトリックス組織を導入するメリット

〜変化の激しい時代に求められる「柔軟で強い組織」〜

マトリックス組織の導入には一定の設計や調整力が求められますが、それを上回る多くの経営的・組織的メリットがあります。ここでは、マトリックス型の導入で得られる主な利点を紹介します。

1.人材の有効活用が進む

マトリックス組織では、部署の枠を超えてプロジェクトに人を配置できるため、人材を組織全体で共有・活用できる仕組みができます。

  • 一部の部署に偏っていたスキルや経験が、他部門にも広がる。
  • 必要な人材をプロジェクトごとに柔軟に配置できる。
  • 仕事の少ない時期の社員にも他のチームで活躍してもらえる仕組みが作れるため、人材をムダなく活かせる。また、さまざまな経験を通じて一人ひとりの仕事の幅が広がっていく。

特に中堅・中小企業においては、「限られた人数で成果を出す」必要があるため、この柔軟な人材活用は大きな武器になります。

2.部門間の連携が深まり、情報共有が進む

従来の縦割り組織では、「営業は営業」「開発は開発」といったサイロ化が起きがちですが、マトリックス組織では職能とプロジェクトが交差することで、部門間のコミュニケーションが自然と活性化されます。

  • 部門をまたぐメンバー同士のつながりができる
  • 顧客情報や技術情報がリアルタイムで共有されやすくなる
  • 組織のスピード感や一体感が生まれる

このような横断的な連携は、顧客対応の迅速化や、課題発見・解決力の向上にもつながります。

3.プロジェクトの推進力・機動力が高まる

マトリックス組織では、プロジェクトごとに最適なメンバーを集めてチームを組成できます。
そのため、専門性と現場感の両方を備えた、スピード感ある意思決定と実行が可能になります。

たとえば、

  • 新製品開発に営業・開発・マーケティングを同時参画させる
  • 顧客対応チームに、現場と本社の両方からメンバーを選出する

といった形で、課題に対して直接的にアプローチできる体制が整うのです。

4.社員の視野が広がり、成長につながる

マトリックス組織では、職能の枠を超えて異なる分野のメンバーと協働するため、社員にとっても大きな学びと成長の機会となります。

  • 他部署の業務や考え方に触れることで視野が広がる
  • 自ら調整し、判断しながら動く力が身につく
  • チームワーク・対人スキルが鍛えられる

これは、単なる「制度の変化」ではなく、組織文化や人材育成の質そのものを高める効果も期待できます。

実際に導入する企業の声

  • 「営業と開発が協力して顧客対応をする体制になったことで、対応スピードが格段に上がった」
  • 「管理職を中心に、全社的な視点で物事を考える人が増えてきた」
  • 「属人化していた仕事を、チームで分担する体制が整ってきた」

このように、マトリックス組織の導入は、組織の成長エンジンとしての可能性を秘めています。

マトリックス組織を導入するデメリット

マトリックス組織を導入することには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。以下に、マトリックス組織を導入する際の主なデメリットを説明します。

複雑な指揮命令系統

マトリックス組織では、従業員が機能別上司とプロジェクト上司の二重の報告ラインに従います。このため、指揮命令系統が複雑になり、どちらの指示に従うべきか混乱することがあります。また、上司間での意見の不一致が生じると、従業員はその対立の影響を受けやすくなります。

コミュニケーションの負担増

複数の部門やプロジェクト間での協力が必要なため、綿密なコミュニケーションが不可欠です。これにより、情報共有や意思疎通にかかる時間や労力が増加します。特に大規模な組織では、適切なコミュニケーション戦略を持たないと、情報の伝達ミスや誤解が発生しやすくなります。

意思決定の遅れ 

多くの関係者が意思決定プロセスに関与するため、決定が遅れることがあります。特に意見が対立する場合や合意を得るのに時間がかかる場合、迅速な対応が求められる状況での遅延が問題となります。これにより、機会損失や市場での競争力低下が発生する可能性があります。

役割と責任の不明確さ 

複数の上司からの指示を受けることで、従業員の役割と責任が不明確になることがあります。明確な職務範囲や責任の境界が曖昧になると、業務の効率が低下し、従業員のモチベーションや満足度が低下するリスクがあります。

リソース競争 

複数のプロジェクトが同時に進行する中で、リソース(人材、設備、資金)の奪い合いが発生することがあります。限られたリソースを最適に配分するための調整が難しくなり、特定のプロジェクトがリソース不足に陥ることがあるため、全体的なパフォーマンスが低下する可能性があります。

管理コストの増加 

複雑な組織構造を維持するための管理コストが増加します。二重の管理ラインに伴う追加の管理職やコーディネーター、プロジェクト管理のためのシステムやツールの導入など、運営コストが高くなることがあります。これにより、経済的な負担が増大します。

従業員のストレス

複数の上司からの異なる要求や指示に対処する必要があるため、従業員のストレスが増加することがあります。明確な優先順位や目標がない場合、従業員は仕事のプレッシャーや不確実性に悩むことが多くなります。これにより、従業員の離職率が高まる可能性があります。

マトリックス組織は、効率的なリソース利用や柔軟な対応能力など多くのメリットを提供しますが、一方で複雑な指揮命令系統、コミュニケーションの負担増、意思決定の遅れなどのデメリットも存在します。これらの課題を克服するためには、適切な管理戦略やコミュニケーションの改善が不可欠です。組織のリーダーシップがこれらのデメリットに対処し、組織全体での一体感を維持することで、マトリックス組織の利点を最大限に活かすことができます。

他の組織形態との違い

マトリックス組織は、他の組織形態とは異なる特徴とメリット、デメリットを持っています。以下に、代表的な組織形態である「機能別組織」と「事業部制組織」との違いを説明します。

機能別組織(ファンクショナル組織) 

特徴

従業員が専門的な機能(例:営業、製造、マーケティング、人事、財務)ごとにグループ化され、各部門が特定の機能に特化しています。各部門は部門長が指揮し、組織全体が専門的な業務に対して効率的に対応できます。

メリット

専門知識が集約され、スキルの向上が促進されます。また、業務が標準化されるため、効率が高くなります。

デメリット

部門間の連携が難しく、全社的な視点からの意思決定が遅れることがあります。プロジェクトが部門の壁を越える際に、調整が困難になることが多いです。

マトリックス組織

特徴

従業員が機能別部門とプロジェクト別チームの両方に属し、二重の指揮系統が存在します。各プロジェクトにはプロジェクトマネージャーが配置され、機能別部門のリソースを活用してプロジェクトを推進します。

メリット

プロジェクト間でリソースを効率的に配分でき、柔軟に対応できます。また、異なる部門の知識やスキルを融合させることで、イノベーションが促進されます。

デメリット

指揮系統が複雑になり、従業員がどちらの指示に従うべきか混乱することがあります。また、意思決定に時間がかかることがあります。

事業部制組織

特徴

組織が製品ラインや市場セグメントごとに事業部に分かれており、各事業部が独立して運営されます。事業部ごとに独自の財務責任を持ち、事業部長が全体の運営を管理します。

メリット

各事業部が自律的に運営され、市場や顧客のニーズに迅速に対応できます。事業部ごとのパフォーマンスが明確に評価でき、競争力が高まります。

デメリット

事業部ごとに重複する機能が発生し、リソースの効率的な利用が難しくなります。また、全社的な統一感が欠けることがあります。

マトリックス組織

特徴

機能別部門とプロジェクト別チームの二重構造があり、従業員が複数の報告ラインを持つことで、全社的なリソースの効率的な利用とプロジェクトの柔軟な管理が可能になります。

メリット

各プロジェクトが機能別部門から必要なリソースを取得でき、迅速にプロジェクトを進めることができます。全社的な視点からの連携が促進され、統一感が高まります。

デメリット

複雑な指揮系統により、管理コストが増加し、従業員が役割や責任に混乱することがあります。また、調整に時間がかかることがあります。

マトリックス組織は、機能別組織や事業部制組織と比較して、複雑な指揮系統と高い柔軟性を持っています。このため、リソースの効率的な利用や迅速なプロジェクト管理が可能になる一方で、管理の難しさや意思決定の遅れといった課題もあります。各組織形態にはそれぞれの強みと弱みがあり、組織のニーズや環境に応じて最適な形態を選択することが重要です。

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具体的な導入方法と導入時の注意点 

マトリックス組織の導入は、組織の複雑さと柔軟性を高めるための戦略的な選択ですが、その成功には慎重な計画と実行が必要です。以下に、具体的な導入方法と導入時の注意点について説明します。

導入方法

現状の分析と評価

組織の現在の構造、プロセス、リソースの利用状況を評価します。特に、現在の組織形態の長所と短所を明確にし、マトリックス組織がどのように改善をもたらすかを理解します。

導入の目的と目標設定

マトリックス組織を導入する目的を明確にし、具体的な目標を設定します。これには、業務の効率化、プロジェクトの成功率向上、リソースの最適化などが含まれます。

トップダウンアプローチの採用 

経営陣からの強力なサポートが必要です。トップマネジメントは、マトリックス組織の導入を推進し、その重要性を全社員に伝える役割を果たします。

組織設計と役割の明確化

新しい組織構造を設計し、各機能部門とプロジェクトチームの役割と責任を明確にします。各部門とプロジェクトマネージャーの権限を具体的に定義し、重複や矛盾を避けるようにします。

トレーニングと教育 

マトリックス組織における効果的な働き方を理解するために、従業員に対するトレーニングと教育プログラムを実施します。これには、新しい指揮命令系統やコラボレーションの方法についての研修が含まれます。

コミュニケーションの強化 

新しい組織構造におけるコミュニケーション戦略を策定し、部門間およびプロジェクト間の情報共有を促進します。定期的な会議や進捗報告の制度を導入し、全員が最新の情報を共有できるようにします。

パイロットプロジェクトの実施 

全面的な導入の前に、パイロットプロジェクトを実施して、マトリックス組織の効果を検証します。これにより、潜在的な問題を特定し、改善策を講じることができます。

フィードバックと改善 

導入後、定期的にフィードバックを収集し、組織構造やプロセスを改善します。従業員の意見を取り入れ、必要に応じて調整を行います。

導入時の注意点

明確な役割分担 

役割と責任を明確に定義し、二重の指揮系統に伴う混乱を最小限に抑えます。各従業員が誰に報告すべきか、どのような権限があるかを明確にすることが重要です。

トップマネジメントの支持 

経営陣の支持と積極的な関与が欠かせません。トップマネジメントがマトリックス組織の価値を理解し、その導入をリードすることで、従業員の抵抗を減少させることができます。

コミュニケーションの強化

部門間およびプロジェクト間のコミュニケーションを強化し、情報共有の重要性を全員に理解させます。オープンなコミュニケーション文化を育成し、透明性を確保します。

コンフリクトマネジメント 

二重の指揮系統による潜在的な対立を管理するためのメカニズムを導入します。対立が発生した場合、迅速に解決できるようなプロセスを確立します。

柔軟性の確保

マトリックス組織は柔軟性を持つことが前提です。市場の変化やプロジェクトのニーズに迅速に対応できるように、組織の柔軟性を維持するための制度を整えます。

継続的な評価と改善 

マトリックス組織の導入が成功しているかどうかを継続的に評価し、必要に応じて改善を行います。定期的な評価を通じて、組織のパフォーマンスを最大化します。

マトリックス組織の導入は、組織の柔軟性と効率性を高めるための有効な手段ですが、その成功には慎重な計画と実行が不可欠です。明確な役割分担、トップマネジメントの支持、コミュニケーションの強化、コンフリクトマネジメント、柔軟性の確保、そして継続的な評価と改善が、マトリックス組織を効果的に運営するための鍵となります。

導入する際に確認しておきたいポイント

マトリックス組織を導入する際には、いくつかの重要なポイントを確認しておくことが成功の鍵となります。以下に、導入時に確認しておきたいポイントを説明します。

組織の目標と戦略の明確化

マトリックス組織の導入目的が組織全体の目標や戦略と一致しているかを確認します。組織が何を達成したいのか、どのようにマトリックス組織がそれを支援するのかを明確にすることが重要です。

経営陣のコミットメント 

トップマネジメントの強力なサポートとコミットメントが必要です。経営陣がマトリックス組織の価値を理解し、導入を推進する姿勢を明確に示すことで、組織全体に一貫したメッセージを伝えられます。

従業員の理解とサポート

従業員がマトリックス組織の導入の目的と利点を理解し、サポートすることが重要です。変化に対する抵抗を最小限にするために、従業員に対する十分な説明と教育を行います。

役割と責任の明確化 

各従業員の役割と責任を明確に定義し、二重の報告ラインによる混乱を避けます。特に、プロジェクトマネージャーと機能別マネージャーの権限と責任を明確にすることが重要です。

コミュニケーションの仕組み 

効果的なコミュニケーションの仕組みを構築します。定期的な会議や報告制度を導入し、部門間およびプロジェクト間での情報共有を促進します。オープンなコミュニケーション文化を育成し、透明性を確保します。

パフォーマンス評価と報酬制度の見直し 

マトリックス組織に適したパフォーマンス評価と報酬制度を見直します。従業員の成果が公正に評価され、適切な報酬が与えられるように制度を整備します。これにより、モチベーションを維持し、高いパフォーマンスを引き出します。

トレーニングとスキル開発 

従業員に対するトレーニングとスキル開発プログラムを実施します。マトリックス組織での効果的な働き方やコラボレーションの方法を学ぶ機会を提供し、組織全体のスキルレベルを向上させます。

リソースの適切な配分 

プロジェクトごとに必要なリソースを適切に配分し、リソース不足を防ぎます。リソースの配分が公平であり、組織全体の最適化が図られるように調整します。

コンフリクトマネジメントのメカニズム 

二重の報告ラインによる潜在的な対立を管理するためのメカニズムを導入します。対立が発生した場合、迅速かつ効果的に解決できるプロセスを確立します。

継続的なモニタリングと改善 

マトリックス組織の導入後、継続的にモニタリングを行い、フィードバックを収集します。必要に応じて組織構造やプロセスを改善し、導入の効果を最大化します。定期的な評価を通じて、成功要因と課題を特定し、組織全体で共有します。

マトリックス組織を導入する際には、これらのポイントを確認し、慎重に計画を進めることが重要です。組織の目標と戦略を明確にし、経営陣と従業員のサポートを得て、効果的なコミュニケーションとパフォーマンス評価の仕組みを構築します。また、リソース配分やコンフリクトマネジメントのメカニズムを整備し、継続的なモニタリングと改善を行うことで、マトリックス組織の導入を成功させることができます。

マトリックス組織の今後の課題

マトリックス組織は、複雑なプロジェクトや多様なビジネス環境に柔軟に対応するための効果的な組織形態ですが、導入後にはさまざまな課題が浮上することがあります。以下に、マトリックス組織の今後の課題について説明します。

指揮命令系統の複雑化

マトリックス組織の最大の課題は、二重の指揮命令系統による複雑化です。従業員は機能別の上司とプロジェクト別の上司の両方に報告しなければならないため、指示が重複したり、矛盾したりすることがあります。このような状況が続くと、従業員は混乱し、ストレスが増加する可能性があります。明確な役割分担とコミュニケーションの改善が必要です。

コミュニケーションの円滑化

複数の部門やプロジェクトチームが協力するマトリックス組織では、コミュニケーションが重要な要素となります。しかし、情報の伝達が遅れたり、誤解が生じたりするリスクがあります。これを防ぐためには、定期的なミーティングや情報共有の仕組みを整備し、オープンなコミュニケーション文化を育成することが重要です。

リソースの競争

マトリックス組織では、複数のプロジェクトが同時進行するため、リソース(人材、設備、資金)の競争が発生することがあります。特に重要なプロジェクトにリソースが集中し、他のプロジェクトが影響を受ける可能性があります。リソースの配分を公平かつ効率的に行うための仕組みを構築し、リソース管理を強化することが求められます。

意思決定の遅延

マトリックス組織は多くの関係者が関与するため、意思決定が遅れることがあります。特に緊急時や迅速な対応が求められる場合に、意思決定のプロセスが遅延すると大きな問題となります。意思決定の権限を明確にし、迅速な意思決定が行えるようなプロセスを整備することが必要です。

コンフリクトマネジメント

二重の指揮命令系統により、機能別上司とプロジェクト上司の間で対立が発生することがあります。これを効果的に管理するためのコンフリクトマネジメントの仕組みが不可欠です。対立が発生した場合、迅速に解決できるようなプロセスを導入し、組織全体での協力を促進する必要があります。

組織文化の変革

マトリックス組織の導入には、従来の組織文化を変革する必要があります。部門間の壁を越えて協力する文化や、オープンなコミュニケーションを奨励する文化を育成することが重要です。これには、従業員に対する教育やトレーニングプログラムの実施が含まれます。

パフォーマンス評価の見直し

マトリックス組織では、従業員が複数のプロジェクトに関与するため、従来のパフォーマンス評価制度が適さないことがあります。従業員の成果を公正に評価し、適切な報酬を提供するための新しい評価制度を導入する必要があります。これにより、従業員のモチベーションを維持し、高いパフォーマンスを引き出すことができます。

マトリックス組織は、効率的なリソース利用と柔軟な対応能力を提供する一方で、指揮命令系統の複雑化やコミュニケーションの課題など、さまざまな課題を抱えています。これらの課題を克服するためには、明確な役割分担、オープンなコミュニケーション、リソース管理の強化、迅速な意思決定のプロセス、効果的なコンフリクトマネジメント、組織文化の変革、そして新しいパフォーマンス評価制度の導入が必要です。これらの取り組みを通じて、マトリックス組織の利点を最大限に活かし、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。

まとめ

マトリックス組織は、複数の管理ラインを組み合わせることで、柔軟かつ効率的な運営を可能にする組織形態です。マトリックス組織の導入で、企業は組織力と効率をアップし、社員が複数の分野に挑戦できる体制を作ることができます。

企業にとって望ましい効果を期待できるマトリックス組織ですが、縦型組織と横型組織の2つを社内に持つことになるため、社員同士がコミュニケーションを取りやすい体制を整え、情報共有ができる仕組み作りが大切です。

指揮系統の複雑化や社員の負担増加などにはしっかりとケアを怠らず、マトリックス組織のデメリットを最小化しつつ、メリットを最大化できるように、社員の意見を取り入れながら、組織改革を目指しましょう。

監修者

髙𣘺秀幸
髙𣘺秀幸株式会社秀實社 代表取締役
2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。

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