組織開発の視点で読み解く、生産性向上を実現するアプローチとは?最新の役立つツールについてもご紹介

1 組織戦略・マネジメント

急速な変化に直面する2024年、企業や組織が持続的に成長するには、生産性の向上が欠かせません。

本コラムでは、効率を高める具体的な方法や、最新ツールの活用事例を通じて、生産性とは何か、なぜ今必要なのかをわかりやすく紹介します。

Contents

組織における生産性の重要性

~成果を最大化する組織の設計とは~

1.いま、なぜ生産性が問われているのか?

変化の激しい市場環境、慢性的な人手不足、労働時間規制の強化——あらゆる業種・業態において、「これまで通りのやり方」では立ち行かなくなる時代です。そんな中、限られたリソース(時間・人材・資金などの経営資源)から最大の成果を引き出す「生産性の高さ」は、企業にとって最重要の競争力といえるでしょう。

生産性は業績だけでなく、職場環境や人材の定着・成長にも直結します。組織が目指すべきは、“頑張っているのに成果が出ない”状態の脱却です。

2.生産性の高い組織が持つ4つの共通点

生産性が高い企業・チームには、共通する“土台”があります。

観点特徴
コスト削減ムダな作業や重複をなくし、利益率を高めている
価値創出同じ人員・時間で、より多くの成果を出せる工夫がある
働きがい個人の役割が明確で、貢献実感を得られる仕組みがある
変化対応力仕事の進め方や意思決定が柔軟で、環境の変化にも素早く対応できる

「人材に頼り切る」状態ではなく、「組織として成果が出る構造」が備わっているのが特長です。

3.“個人任せ”から“組織としての再設計”へ

よくあるのが「優秀な人がなんとかしてくれている」状態。しかし、これでは担当者の異動や退職とともに成果が失われ、組織としての安定性を欠いてしまいます。

本質的な生産性向上には、「個人の頑張り」に依存せず、組織全体で成果を出せる仕組みを整えることが必要です。

生産性向上の連鎖モデル

[リソースの最適化]

人・モノ・時間などの使い方を見直し、無駄を省くことから始まります。

[業務プロセスの改善]

日々の業務の流れを整理し、効率よく仕事が進むように工夫を重ねます。

[働きやすい環境づくり]

制度や職場環境を整え、誰もが力を発揮しやすい土台をつくります。

[モチベーションの向上]

働きやすさが「やる気」に火をつけ、前向きに仕事へ取り組むようになります。

[組織全体の成果拡大]

一人ひとりの力が発揮され、結果として組織全体の成果につながります。

一部門だけでなく、「全社的な視点」で取り組むことが求められます。

4.短期成果と長期視点、そのバランスが重要

「目の前の成果」も大切ですが、それだけを追い続けていては、社員の疲弊や離職を招く恐れもあります。持続的な組織成長には、以下のような2つの視点を行き来するバランスが重要です。

視点主な取り組み・考え方
短期視点業務効率の見直し、ツール導入、成果指標の明確化など
長期視点働きがいを感じられる環境づくり、価値観の共有、キャリア支援など

どちらか一方に偏るのではなく、企業の成長段階や組織文化に合わせて両輪で進めることが、継続的な生産性向上に繋がります。

5.経営と人事が取り組むべき、実践のヒント

生産性向上は、仕組みの整備と風土づくりの両方が必要です。以下のような取り組みは、すぐにでも始められる第一歩です。

  • 時間や労力の使い方を定期的に見直す
    →「なぜこの仕事をしているのか?」をチームで振り返る習慣を
  • 特定の人にしか分からない仕事を“チームで共有”する
    →業務の手順を言語化し、属人性を減らす
  • 現場に即したツールを導入し、使いこなせるよう支援する
    →「ツール導入で逆に手間が増えた」事態を防ぐには、現場に合った運用方法を最初に設計しておくことが重要  
  • 成果だけでなく、“やり方”や“過程”も評価する
    →長期的な育成と改善意識の定着に寄与

生産性とは、未来の組織価値を高める土台

生産性の向上は、「効率の話」だけではありません。社員の力を最大限に引き出すための仕組みを整え、安心してチャレンジできる風土を育てること。それこそが、これからの時代に選ばれる組織の共通点です。

「人手不足」や「業績伸び悩み」を“個人の責任”で片づけるのではなく、経営と人事がタッグを組み、組織全体の成果構造を見直す視点が求められています。

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生産性が上がらない理由

~見落とされがちな4つの落とし穴~

多くの企業で「人は足りているのに成果が出ない」「忙しそうなのに結果に結びつかない」といった声が聞かれます。その背景には、組織の生産性が思うように上がらない構造的な課題があります。
ここでは、現場でよく見られる代表的な要因を4つに分けて整理します。

1.情報共有がうまくいかない

部署間やチーム内で必要な情報が行き渡っていないと、仕事の進行が滞り、無駄なやり直しや確認作業が増えます。特に、「あの件どうなった?」「その話、初めて聞いた」といった場面が多い場合、コミュニケーションのしくみに問題がある可能性があります。

  • 会議でしか情報が共有されない
  • メールやチャットが埋もれてしまう
  • 担当者しか状況を把握していない

こうした状態では、どんなに優秀な人材がいても成果は頭打ちになります。

2.現場に合っていないツールを使っている

せっかくツールを導入しても、それが業務に合っていなければ逆効果です。操作が複雑だったり、活用されずに形だけ残っていたりすると、かえって時間と労力を奪う原因になります。

  • 書類作成時の書式が統一されておらず、作業の効率が下がっている
  • 連絡手段や業務の進捗管理ツールが複数に分かれており、情報が分散している
  • 同様の内容を複数箇所に入力する必要があり、現場の負担が増加している

「ツールを入れたのに手間が増えた」という声が出ていないか、チェックが必要です。

3.仕事の進め方にムダが多い

昔からのやり方をそのまま続けていませんか?業務の流れ(フロー)を見直さずに放置すると、不要な手順や重複作業が蓄積され、生産性を引き下げる要因になります。

  • 同じ内容を別システムに二重入力している
  • 上司の確認が何重にも必要
  • 一人の担当者に負担が集中している

こうした非効率の放置は、組織全体のスピードと柔軟性を奪ってしまいます。

4.やる気が出にくい環境になっている

適切な評価がされなかったり、成果と報酬が結びついていなかったりすると、社員は徐々に意欲を失っていきます。これは目には見えにくいけれど、確実に生産性を下げる“無言のリスク”です。

  • 頑張っても認められない
  • 誰が評価しているか不透明
  • 成果を出しても昇給や昇格に反映されない

こうした環境では、優秀な人材から順に離れていく傾向があります。

生産性の低下は、“現場の努力”だけでは解決できない

生産性が上がらない理由を「社員の努力不足」や「気合い」の問題と捉えるのは危険です。
実際には、情報の流れ・道具の選定・仕事のやり方・評価のしかたといった「しくみと運営」に根本的な原因があるケースが大半です。

そして生産性の低迷が続けば、業務効率が悪化し、コストは増加。さらに社員のモチベーションが下がり、離職や人材流出につながります。
これは企業の競争力をじわじわと蝕み、将来の成長にも大きなブレーキをかけてしまいます。


“しくみの整備”を進めることが解決の糸口に

まずは、これらの課題が自社に当てはまっていないか、客観的に洗い出すことが第一歩です。「やり方」と「見え方」を整えることで、社員の力を最大限に引き出せる組織へと変わっていきます。

生産性向上と業務効率化は同じ?

~似て非なる2つの改善視点~

「生産性向上」「業務効率化」は、日常の会話や経営会議の中でしばしば同じ意味で使われがちです。しかし、この2つは似て非なる概念であり、それぞれに明確な目的と取り組み方があります。

両者の違いを理解することは、適切な施策立案と実行の第一歩となります。

生産性向上とは

生産性向上とは、同じリソース(人材・時間・コストなど)を使って、より大きな成果を生み出すことを指します。
たとえば、一定時間で製品をより多く製造する、同じ人数でより多くの顧客対応を実現する、といった状態を目指します。

その本質は、「限られた資源の活用効率を最大化し、企業全体の競争力を高めること」にあります。

業務効率化とは

一方、業務効率化は、業務の流れや作業内容の中に潜む“ムダ”を見つけ、取り除くことを目的とした取り組みです。
具体的には以下のような内容が該当します。

  • 重複作業や非効率な承認の手順を見直す
  • 手書きや手入力の作業を自動化する
  • 社内での連絡や情報共有の手段をひとつにまとめる  など

業務効率化は「やり方」を改善することで、日々の仕事をスムーズにし、ミスやロスを削減することが目的です。

両者の違いと関係性

項目生産性向上業務効率化
目的同じリソースで、より大きな成果を出すムダを省き、業務をスムーズに進める
取り組み成果に直結する要素の強化、仕組みの見直し作業内容の精査、業務の最適化
役割企業の競争力強化現場の働きやすさ、スピード向上
関係性効率化の先に生産性向上がある生産性を支える基盤の一つ

つまり、業務効率化は生産性向上を実現するための手段のひとつであり、両者は相互に補完し合う関係にあります。

具体的な業務効率化の取り組み例

効率化を進める上では、業務の全体像を把握し、どこにムダがあるかを明確にすることが重要です。以下は代表的な手法です。

  • 仕事の進め方を見える化・整理する(プロセスマッピングなど)
    プロセスマッピングとは、業務の手順や関係者、必要な情報などを図式化し、業務全体の流れを把握・整理する手法です。どこにムダや重複があるかを明らかにする際に役立ちます。
  • 業務の改善活動を導入する(リーン・シックスシグマなど)
    リーン・シックスシグマは、ムダの削減(リーン)と品質向上(シックスシグマ)の考え方を組み合わせた業務改善の手法です。効率と精度の両立を目指す仕組みとして、多くの企業で活用されています。
  • 定型的な作業を自動化する(RPAツールを使った入力・集計業務の自動処理)
    RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ルール化された定型業務をソフトウェアで自動処理する仕組みで、入力作業やデータ集計などに活用されます。

こうした取り組みにより、作業の手間が減り、従業員がより付加価値の高い業務に集中できる環境をつくることが可能になります。

生産性向上には“文化”や“仕組み”の見直しも必要

業務効率化だけでは、生産性は一定の段階で頭打ちになります。
持続的な生産性向上を実現するためには、組織の文化や働き方、マネジメントスタイルの見直しも欠かせません。

  • 働き方の柔軟性を高め、ワークライフバランスを改善する
  • 組織のビジョン(企業が目指す将来の姿や社会的な存在意義)や目標を明確にし、全社員の方向性を統一する
  • 成果に対する適切な評価制度・報酬制度を整備する

こうした取り組みは、従業員の意欲を高め、個人と組織の成長を両立させる土台となります。


両方をバランスよく進めることが、企業成長の加速に繋がる

業務効率化は「日々の現場」に、
生産性向上は「企業全体の方向性」に作用します。
片方に偏ることなく、両方を計画的に進めることで、企業の持続的な成長を支えることができます。

生産性向上にはどのようなアプローチが必要か

~現場と組織を動かす、5つの実践ポイント~

生産性を高めるには、単に「効率化」するだけでは不十分です。現場でのムダの見直しに加え、社員の能力を最大限に引き出す環境づくりや、組織全体での取り組みが求められます。

ここでは、生産性向上に向けて効果的な5つの取り組みをご紹介します。

1.業務の進め方を見直し、ムダをなくす

まず必要なのは、現在の仕事の流れ(業務手順)を見える化し、どこにムダや非効率があるかを洗い出すことです。
たとえば、承認が複雑すぎる、同じ情報を何度も入力している、などの状況は見直しの対象となります。

  • 業務の全体像を図で整理する「プロセスマッピング」などの手法が有効です。
  • 手順の簡素化、重複作業の削減を通じて、仕事のスピードと質が向上します。

2.業務に合ったツールを導入し、活用する

ツールは導入して終わりではなく、「現場に合った使いやすさ」と「業務との相性」が重要です。適切なツールを活用することで、情報の共有や業務の進行管理がスムーズになり、チーム全体の生産性が向上するだけでなく、情報の分散を防ぎ、業務の遅れや抜け漏れを減らすことにもつながります。

たとえば、

  • プロジェクト管理ツールで仕事の進捗を可視化
  • チャットツールの導入で、やりとりのスピードを改善 など

3.教育と研修で、社員のスキルと適応力を高める

新しいやり方やツールを導入する際は、社員が使いこなせるようにするための教育・研修が不可欠です。
「ツールはあるのに誰も使っていない」という状況を防ぐには、初期段階から人への支援をセットで考える必要があります。

  • 定期的なトレーニングや操作説明会の実施
  • 実践的なワークショップによる習得の促進
  • ITに不慣れな社員にも配慮したサポート体制の整備 など

4.柔軟な働き方を取り入れる

近年注目されているのが、働き方そのものの見直しによる生産性向上です。
リモートワークやフレックスタイムなど、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を導入することで、社員が最も集中できる時間帯・環境で働けるようになります。

  • 通勤ストレスの軽減業務への集中力向上
  • 働く時間に裁量を持たせる 自律的な仕事の進行を促す
  • 働きやすさが改善離職防止やモチベーション向上にも貢献 など

5.定期的な評価とフィードバックで改善を継続する

取り組みは「やりっぱなし」では意味がありません。成果を定期的に振り返り、改善点を明確にするサイクルが欠かせません。

  • 定期的な面談や業務成果に基づく評価の実施
  • 数字だけでなく、「やり方」や「チーム貢献度」など多面的な評価
  • フィードバックをもとに仕組みや制度の改善へつなげる など

このように、評価とフィードバックを通じて現場の声を拾い、次の改善につなげる姿勢が、生産性向上を“継続的なもの”にしていきます。


組織全体での一貫した取り組みが、成果につながる

生産性向上の施策は、どれか一つを単発で実施するよりも、相互に連動させて展開することが重要です。たとえば、新しいツールを導入するなら、その活用方法を研修で教える、研修後の実践状況を評価・改善する、といった形です。

また、こうした取り組みは現場任せにせず、経営・人事・現場が一体となって進めることで、より確実な成果につながります。

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【2024年最新】生産性向上に役立つツール

~現場と組織を支える4つの実用ソリューション~

2024年も、多くの企業が生産性向上を目的に、最新のツールやサービスを導入・活用しています。

本章では、特に注目されている4つのツールを紹介し、それぞれの特長と活用効果、さらに導入企業による成功事例をまとめました。

1.ChatWork(チャットワーク)

部門の壁を越えて、チームが一体となる

   ——業務スピードを加速させるコミュニケーションツール

ツールの概要

ChatWorkは、社内での「連絡」「情報の共有」、そして「やるべき仕事の管理」をまとめて行えるビジネスチャットツールです。

リモートワークやプロジェクトが複雑になる中で、「伝達ミス」や「やるべきことの抜け漏れ」が起きやすくなっていますが、ChatWorkを使うことで、チームのつながりを強め、仕事の効率を上げることができます。

主な機能

グループチャットプロジェクトや部署単位でのやり取りを一本化
タスク管理各自の仕事の進捗を可視化し、全体の進行を把握
ファイル共有資料の添付・検索が簡単で、確認もスピーディー
ビデオ通話離れたチームでも顔を見ながら打ち合わせ可能
通知機能大事なメッセージや期限を確実にキャッチ

活用事例|製造業A社の改善ストーリー

「情報が伝わらない」が、「チームが動く」へ。

   ChatWork導入で見えた生産性の本質                   

製造業A社では、複数の部門が共同でプロジェクトを進める中、部門間の情報共有が課題となっていました。
たとえば、設計部門が図面を修正しても、それが生産部門に伝わるまでに時間がかかり、作業の重複ややり直しが発生。結果、プロジェクトのスケジュール遅延が常態化していました。

解決のカギは「リアルタイムの情報共有」

ChatWorkの導入後、プロジェクトごとにグループチャットを開設。設計部門が修正を完了した時点で即座に連絡が入り、生産部門は待ち時間ゼロで作業に着手できるように。
「情報を取りに行く」から「情報が届く」体制に変わり、意思決定もスピードアップしました。

タスクの進捗も一目で見える化

タスク管理機能により、各作業の進行状況が一覧で確認できるようになりました。
これにより、遅れの兆しを早期に把握し、担当部門間で迅速に調整。

たとえば、生産ラインでトラブルが発生しても、関係者がすぐに連携し、問題の長期化を未然に防げるようになったのです。

ファイル共有で「探す時間」がゼロに

過去の資料や設計図もすぐに検索・参照できるようになり、作業の手戻りが激減。
最新版のファイルをチーム全員が常に把握できるため、確認ミスや二重作業もなくなりました。

効果と成果

ChatWork導入によって、A社はプロジェクトの遅延を大幅に減少。部門間の壁を越えた情報連携が実現し、納期遵守率が向上。
顧客対応もスムーズになり、生産性向上と顧客満足度の両立を実現しました。

「会議より、チャットの方が早い。」
——現場の声が示すように、ChatWorkは見えないストレス”を可視化し、解決できるツールとして、今後も多くの企業の現場改革を支えていくでしょう。

2.Mindfulness App(マインドフルネスアプリ)

社員の集中力と安定感を高める、メンタルヘルス支援の新常識

ツールの概要

Mindfulness Appは、ストレスの多い職場環境でも、従業員が落ち着いて集中できる状態を保つための支援ツールです。
短時間でできる瞑想やリラクゼーション機能を通じて、メンタル面から生産性の底上げを図るアプローチとして、近年多くの企業で導入が進んでいます。

主な機能

マインドフルネス瞑想セッション朝・昼・就業前などに最適な数分間の瞑想ガイド
リラックス音楽と音声ガイド心を落ち着かせ、集中力を引き出す
ストレス管理プログラム継続的なチェックと改善支援
習慣化サポートリマインダーや記録機能で日々の実践を後押し
社内コミュニティ機能他の利用者と実践体験を共有・共感

活用事例|IT企業B社の取り組み

「ストレスが成果を阻む」現場に、集中と安定を取り戻した成功事例

高い専門性が求められるIT企業B社では、エンジニアの集中力の低下や慢性的なストレスがパフォーマンスに悪影響を及ぼしていました。
タスクの切り替えがうまくいかず、締め切り間近には不安や疲労からミスが増加。経営層は「メンタル面の強化が、生産性向上のカギになる」と判断し、Mindfulness Appを導入しました。

毎朝10分の瞑想が「思考の整理」を生んだ

全社的に、業務開始前に10分間の瞑想タイムを導入。静かな環境の中で呼吸を整える時間が設けられたことで、「頭の中がクリアになる」「集中力が持続するようになった」といった声が続出。
とくにデバッグ作業や設計などの緻密な業務において、作業効率が目に見えて改善しました。

音楽の活用で、作業の質が向上

アプリ内のリラックス音楽を業務中に流すことで、雑念を減らし、リズムよく仕事に取り組める環境が整いました。
特に創造的な業務(新機能の企画、UIデザインなど)において、アイデアの質が向上したという実感が社員の間に広がりました。

ストレス管理が“個人任せ”ではなく“会社の仕組み”に

ストレスチェックの結果と連動するかたちで、社内のサポート体制を整備し、「週に1度、気軽に話せる時間」としてストレスマネジメントセッションを導入しました。
社員は1対1や少人数で参加し、自分の仕事上の悩みや日常のストレスについて、気兼ねなく話せる場を持てるようになっています。

このセッションでは、外部のカウンセラーや人事担当がファシリテーターとして同席し、社員の声にじっくり耳を傾けます。単に話を聞くだけでなく、必要に応じて業務の進め方の見直しや、チーム内の人間関係の調整へとつなげることも可能です。

こうした取り組みによって職場の心理的安全性が高まり、社員のエンゲージメントも回復
さらに、「会社が本気で健康を考えてくれている」という安心感が生まれ、離職率の低下にもつながっています。

効果と成果

Mindfulness Appの導入により、B社では集中力・創造力・業務スピードの向上が実現。
また、メンタルヘルス改善を通じてチームの雰囲気が明るくなり、社員間の関係性も良好に。結果的に、組織全体の生産性と士気が大きく向上しました。

「静かに座る10分が、一日を変える」
——社員の“心の余裕”が、企業の“業績”に直結する時代。Mindfulness Appは、人のパフォーマンスを引き出すための新しい基盤となっています。

3.Miidas Assessment(ミイダス アセスメント)

“人の強み”を見える化し、最適配置と評価制度を整える人材診断ツール

ツールの概要

Miidas Assessmentは、従業員一人ひとりの適性やパフォーマンスを客観的なデータで可視化するツールです。適材適所の人材配置、納得感のある評価、将来を見据えたキャリア設計など、人材マネジメントの土台づくりを支援します。

主な機能

適性診断強み・弱みをデータで把握
パフォーマンス評価売上や達成率など、数値で測れる成果(=定量的な指標)を使って、業務の成果を明確に評価
キャリアパス設計支援本人の志向や適性に合わせた成長の道筋を提案
フィードバック管理上司との対話を記録・管理し、継続的な改善を後押し
人材データのレポート出力個人だけでなく、組織全体の傾向や課題も分析可能

活用事例|小売業C社の人材マネジメント改革

「この人に何が合うのか?」が見えるだけで、組織が動き出した成功例

従業員数が多く、配置転換や役割の割り振りが頻繁に行われるC社では、「人の適性が分からないまま、なんとなくで人事が決まってしまう」という課題がありました。
その結果、接客が苦手な人が販売を担当し、事務処理が得意な人が現場業務に配置されるなど、能力を活かしきれない状況が生産性の低下を招いていました。

「この人の強みは何か?」がデータで明確に

Miidasの診断を実施することで、接客向き・分析向き・管理向きといった傾向が数値で可視化されました。
たとえば、接客スキルが高いと診断された社員を販売担当に配置したことで、顧客対応の質が向上し、売上にも良い影響が表れました。

評価の「不公平感」が消え、モチベーションが上がる

従来は主観的な評価に偏りがちだった人事評価も、Miidasによる定量的なパフォーマンス分析を導入したことで、社員同士の納得感が高まりました
具体的な成果や目標達成度に基づいた評価を行うことで、「頑張った分だけ評価される」実感が広がり、社員の意欲向上につながりました。

キャリア支援で「目指す姿」が明確に

ツールを通じてキャリアパスの設計支援を行い、管理職志望者にはリーダー研修、専門職志望者にはスキルアップ研修を提供。
「将来どうなりたいか」に対して、具体的なステップが示されたことで、社員の成長意欲とエンゲージメントが高まりました。

効果と成果

Miidas Assessmentの導入により、C社では“適性に合った配置”“公平な評価”が実現し、業務の質が飛躍的に向上。
社員一人ひとりが自分の強みを活かして働く環境が整い、職場の活気と生産性が同時に向上しました。

「人は『やりたい』よりも、『向いている』仕事で力を発揮する」
——Miidasは、感覚に頼らない人材活用を実現し、組織の成長スピードを加速させるツールです。

4.CYDAS People Labo(サイダス ピープルラボ)

人材データの活用で、“勘と経験”から脱却する組織マネジメントツール

ツールの概要

CYDAS People Laboは、従業員に関するさまざまな情報をひとつにまとめ、人事データをもとに「分析」「判断」、そして「具体的な改善策の実行」まで行える人材管理のための仕組みです。

「人は十分にいるのに、なぜ思うような成果が出ないのか?」
そんな疑問に対して、組織の状態や課題をわかりやすく可視化し、原因を明らかにすることができます。

主な機能

人材情報の一元管理スキル、資格、評価の履歴などを一か所にまとめて管理
パフォーマンス分析個人・チーム・部門ごとの業績傾向を見える化
目標設定と進捗管理上司と部下で目標を共有し、継続的に進み具合を確認・支援
定期的なフィードバック支援面談や評価のやりとりを通じて、内容の質を向上
レポート機能経営判断に役立つデータを出力可能

活用事例|金融業D社の人事業務変革

「人の情報がバラバラ」を、「すぐ見える」「すぐ動ける」に変えた仕組みづくり

D社では社員数の増加に伴い、人事情報が部署ごとにバラバラに管理されており、必要な情報をすぐに見つけて確認することができず、日々の業務に支障をきたしていました。
また、人材評価も主観的になりがちで、「何をもとに判断しているのか」がはっきりせず、あいまいなまま運用されていたのです。

データを一か所にまとめて「必要な情報」にすぐたどり着けるしくみを実現

CYDASを導入したことで、全社員のスキルや経歴、評価などの情報がひとまとめに整理され、人事部門だけでなく現場の管理職も必要な情報をすぐに確認できるようになりました。
その結果、配属や異動の判断もすばやく対応できるようになり、人事業務の効率が大幅に向上しました。

パフォーマンスを“感覚”ではなく“データ”で捉える

従業員の業績データや目標達成度をもとに、どの部署で成果が出ているのか、誰がどの分野で力を発揮しているのかを定量的に分析
業務改善が必要な箇所や、育成が求められる人材も明確になり、データに基づいた対策が可能となりました。

フィードバックが“習慣化”し、成長を後押し

CYDASには、定期的な面談記録や評価コメントの入力・共有機能があり、評価とフィードバックの流れが自然に定着
「何を評価され、どう改善すべきか」が明確になることで、社員一人ひとりが前向きに成長と向き合えるようになりました。

効果と成果

CYDAS People Laboの導入により、D社では“人材情報を活かしたマネジメント”が社内に浸透
人事部門だけでなく現場マネージャーにも意思決定の材料が行き届き、配置・評価・育成のスピードと質が向上。
結果として、従業員のエンゲージメントと業績の両方に良い影響が表れました。

「人のマネジメントに“根拠”が持てるようになった」
——CYDASは、人に関わるすべての判断に“データという後ろ盾”を与え、組織の意思決定を支える仕組みをつくります。

ツールの導入は「戦略的に、実践的に」

紹介したツールはいずれも「導入すること」自体が目的ではなく、現場で定着し、活用されてこそ真の価値が発揮されます。
ツールの効果を最大化するためには、以下のような視点が重要です。

  • 目的に応じたツールの選定(情報共有・評価・教育など)
  • 従業員への使い方の教育と運用ルールの整備
  • 活用状況の定期確認と改善

2024年現在、生産性向上のためのツールやサービスは多様化し、選択肢も増えています。ツールだけでなく、現場定着を支援する運用サポートや教育サービスも含めて活用することで、効果はさらに高まります。
重要なのは、組織の課題に合わせて「正しく選び」「使いこなすこと」。経営と人事が連携し、戦略的に取り組むことで、企業全体の生産性は確実に高められます。

生産性向上は未来への土台づくり

生産性の向上は、企業が持続的に成長し、市場での競争力を保ち続けるために欠かせないテーマです。
業務の効率化だけでなく、社員一人ひとりがやりがいを持って働ける環境づくりを通じて、組織全体のパフォーマンスを高めていく必要があります。

そのためには、業務の流れを見直し、適切なツールを導入し、従業員の育成・働き方・評価体制をバランスよく整えることが重要です。
本記事で紹介した ChatWork、Mindfulness App、Miidas Assessment、CYDAS People Labo などの最新ツールは、これらの取り組みを力強く支えてくれるでしょう。

しかし、ツールの導入だけで終わらせるのではなく、それらを「活かし続ける」仕組みと文化を組織に根づかせることが、成功の鍵です。
定期的な評価とフィードバックを通じて改善を重ねることで、企業は変化に柔軟に対応し、新たなビジネスチャンスをつかむことができます。

今こそ、生産性向上に向けた一歩を踏み出すタイミングです。
2024年を、自社にとって「変革と前進の年」にするために。
最新のツールと取り組みを活かして、成果の出る組織づくりを進めていきましょう。

監修者

髙𣘺秀幸
髙𣘺秀幸株式会社秀實社 代表取締役
2010年、株式会社秀實社を設立。創業時より組織人事コンサルティング事業を手掛け、クライアントの中には、コンサルティング支援を始めて3年後に米国のナスダック市場へ上場を果たした企業もある。2012年「未来の百年企業」を発足し、経済情報誌「未来企業通信」を監修。2013年「次代の日本を担う人財」の育成を目的として、次代人財養成塾One-Willを開講し、産経新聞社と共に3500名の塾生を指導する。現在は、全国の中堅、中小企業の経営課題の解決に従事しているが、課題要因は戦略人事の機能を持ち合わせていないことと判断し、人事部の機能を担うコンサルティングサービスの提供を強化している。「仕事の教科書(KADOKAWA)」他5冊を出版。コンサルティング支援先企業の内18社が、株式公開を果たす。

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